日常生活の著作権
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はじめに 筆者の好きなテレビ番組に、世界の空港や駅、街角に置かれた誰もが自由に弾けるピアノ(いわゆるストリートピアノ)の演奏を、定点カメラで撮影して紹介する番組があります。様々な年齢、人種、国籍の演奏者の演奏とともに、その演奏者の背景、想い、エピソード等が紹介されるのがとても興味深いです。 筆者が通勤で使う私鉄の、とある駅の広場(改札の外)にも、一時期、ピアノが置かれていました。小さな子供からお年寄りまで、楽しそうに、また、人によっては少々緊張しながら演奏する様子と、それを見守る親御さんや身内の方の温かい眼差しも微笑ましいものです。
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はじめに SNS上では曲にあわせて踊りを披露する、いわゆる「踊ってみた」動画が数多く投稿されています。ダンサーがアイドルの曲に合わせて踊ったり、子供たちがアニメの主題歌に合わせて踊っていたりとその内容は様々ですが、中には何百万回もの再生回数を獲得しているものもあるようです。みなさんの中にも「踊ってみた」動画を投稿してみたいと思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、「踊ってみた」動画を投稿する際に注意すべき楽曲や音源、振り付けにまつわる権利を中心に考えてみたいと思います。
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個人が、時事ネタとともに、これに関連する、他人が著作権を有する著作物(写真など)をウェブサイトに投稿する行為、例えば、個人が、著作権侵害幇助の判決がなされたという旨のコメントとともに、同判決において著作権侵害の成否が問題とされた写真(他人が著作権を有する写真)をウェブサイトに投稿する行為は、著作権侵害になるのでしょうか?投稿者である個人は、報道機関のように事件の報道をしているだけだとして、著作権侵害にはならないと主張することは可能でしょうか?
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はじめに ネタバレ、されたことありますか? 筆者は我が子から「これはネタバレなんだけど・・・」と宣言された上でネタバレされることが間々あります。日曜朝の子ども向けアニメは気にならずとも、最近流行りの転生系アニメのネタバレはちょっと残念です。 我が子でも辛いのに、見ず知らずのネット民にネタバレされたら、もっと嫌な気持ちになりますよね。 さて、ネット上に散見されるネタバレ行為について、著作権的に考えてみたいと思います。
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著作権法に照らして権利者の許諾なく他人の作品を二次利用できる主な場面のまとめ
「インターネットや書籍に載っている作品を利用するためには許諾を得ないといけない。」漠然とこのような理解をお持ちの方は少なくないと思います。しかし著作権法では、世の中にあるあらゆる作品について権利者の許諾を必要としているわけではありません。本記事では、権利者の許諾なく他人の作品を利用できる主な場面をまとめてみます。
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書籍のPDF化(いわゆる「自炊」)を代行することは私的使用のための複製にあたるかついて〜自炊代行事件〜
知財高裁平成25年(ネ)第10089号平成26年10月22日判決 (原審)東京地裁平成24年(ワ)第33525号平成25年9月30日判決 著作物の無断複製は著作権者が有する複製権を侵害することになります。しかし、私的使用のためになされる複製は例外的に許容されています。この事件では、この私的使用のための複製を外部の代行業者が行うことが適法かどうかについて争われました。
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最近の音楽利用形態 近年、CDなどから楽曲データのダウンロードを行わずに音楽を聴く「ストリーミング再生」を利用する人は増えています。他人の著作物を利用する場合、著作者の許諾が必要となります。ストリーミングサービスには、次々に生み出される新しい音楽も手軽に聴けますが、そのストリーミングサービス会社が、その1曲1曲について1人1人のアーティスト(著作権者)に対して利用許諾を受けて回っているのでしょうか? また、著者は90年代サブカルチャーを引きずっているので、今流行の有名な曲よりも、世間的には知名度が低い曲を聴く傾向にあります。知名度が低い曲については、著作権者を探して利用許諾をしてもらうことは、より大変なのではないでしょうか?
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他人の投稿をスクリーンショットした画像をツイートすることが公正な慣行に合致するか〜スクショツイート事件2〜
知財高裁令和4年(ネ)第10044号令和4年11月2日判決 著作物を無断で複製したり公衆送信したりすると著作権者が有する複製権や公衆送信権を侵害することになります。しかし、適法な引用については例外的に許容されています。この事件では、他人の投稿をスクリーンショットしてTwitterに投稿したことが適法かどうかについて争われました。
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他人の投稿をスクリーンショットした画像をツイートすることが公正な慣行に合致しないと判断したケース〜スクショツイート事件〜
東京地裁令和3年(ワ)第15819号令和3年12月10日判決 著作物を無断で複製したり公衆送信したりすると著作権者が有する複製権や公衆送信権を侵害することになります。しかし、適法な引用については例外的に許容されています。この事件では、他人の投稿をスクリーンショットしてTwitterに投稿したことが適法かどうかについて争われました。
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1.はじめに たとえば日本のどこかでカフェやパン屋さんを開業しようと思って、ホームページを作り、さあお店の場所を知ってもらおうと地図を準備しようとすることがあると思います。 このような場合に地図をどうするか。GoogleマップやYahoo! JAPAN地図をトレースすることが手っ取り早いように思えますが、著作権法上問題ないでしょうか。
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コンテンツ等の著作物を許諾なくコピー等できるのはどんな場合?
近年、海賊版などの著作権侵害行為に対する罰則が強化されたり、いわゆるファスト映画に対する逮捕者も出たりしていることから、他者の著作物を利用するのは絶対ダメになったのかなと思われる方もおられるかもしれません。 自由に著作物をコピー等できるわけではありませんが、著作権法は、もともと著作物が公正に利用されることを予定に入れていて、コピー等するのが絶対ダメというわけでもありません。著作物について「公正な利用に留意」したうえで、「著作者等の権利の保護を図り」、結果として「文化の発展に寄与する」ことが期待されています。つまり、多くの人に著作物を正しく利用してもらうようにしつつ、その利用料を払って貰うなどして著作者の創作意欲を促すなどして、さらによりよい著作物の創作につなげて、日本の文化が発展することが望まれています。「公正に利用する場合には」、デザイナー・クリエイター等の著作権者の許諾なくコンテンツなどの著作物を利用できます。 では、コンテンツなどの著作物を「公正に」利用できる場合とはたとえばどのような場合をいうのでしょうか。
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著作権を持たない人が著作権者に無断で著作物を利用すると、著作権侵害になってしまいます。日常生活でみると、文章や動画、写真、絵画をコピーすることはよくあることですが、著作権法との関係で問題にはならないのでしょうか。
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著作権者の許可をもらうのが原則 コンピュータ画面上に表示された他人の著作物の全部または一部を画像にして保存するスクリーンショットいわゆるスクショをする場合には、その著作物の著作権者の許可をもらうのが原則です。これは「複製権」という著作権との関係で問題になるからです。
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自分の写真等に他人の著作物が写り込んでしまう(いわゆる写り込み)場合、その著作物の著作権者の許可が必要?
著作権者の許可をもらうのが原則 写真撮影やビデオ収録等の際に背景に有名なキャラクター(著作物)が入り込んでしまう、いわゆる写り込みをしてしまうことがありますよね。このような場合は、写真撮影やビデオ収録等のときは勿論、その後その写真やビデオ映像をSNS等にアップして利用するようなときも、そのキャラクターの著作権者の許可をもらうのが原則です。これは「複製権」などの著作権との関係で問題になるからです。 ビデオ収録時にバックに音楽が入り込んでしまうような場合なども同じです。
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音楽ファイルのコピー、ダウンロードで注意すべき著作権の問題点
インターネット上で販売されている音楽をパソコンにダウンロードし、または、録音済みCDに記録された音楽をパソコンのハードディスクにコピーし、その音楽データをスマートフォンや携帯型オーディオプレーヤーにコピーして音楽を楽しんでいる方も多いと思います。 皆さんが気軽に楽しんでいる音楽は、著作物として著作権法により守られているものであり、一定の場合を除いて、著作権者に無断でコピーする行為は、著作権を侵害する行為として禁止されています。 それでは、著作権者に無断で音楽ファイルをコピーしても良い一定の場合とは、どのような場合を指すのでしょうか?音楽ファイルを自由にコピーできる場合について以下にまとめました。
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最近は写真編集ソフトウェアの機能も充実し、写真の色彩を変えることやトリミングすることなどの写真編集は簡単に行うことができます。他人が撮影した写真を勝手に編集すれば著作権の問題が生じることはご存じかと思われますが、著作権の譲渡を受けていても問題が生じることがあります。 そこで、写真の編集における著作権の問題について解説します。
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どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか?
日本の著作権法では、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」であるとされています。例えば、著作物としては、以下のようなものがあります。 (1) 小説、脚本、論文、講演そのほかの言語の著作物 (2) 音楽の著作物(曲や歌詞) (3) 舞踊または無言劇の著作物(日本舞踊、バレエ、ダンスの振り付け) (4) 絵画、版画、彫刻そのほかの美術の著作物(マンガや書など) (5) 建築の著作物(お城のような建築芸術) (6) 地図または学術的な図面、図表、模型そのほかの図形の著作物(設計図など) (7) 写真の著作物 (8) 映画の著作物(動画なども含む) (9) プログラムの著作物