第11回
起業しても困らないリスクコントロール
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
※本コラムは、立志財団の森川応樹氏によるインタビュー形式にて掲載しております。
森川:今回は坂本先生の著書「6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する」の第4章の「起業してから困らないリスクコントロールの方法」からお話をうかがいます。
ここでは、起業のリスクコントロールの方法について、具体例として起業当初の坂本先生ご自身のケースが紹介されています。この体験について詳しくお聞かせいただけますか。
自分のリスク許容度を理解する
坂本:起業しても上手くいかずに失敗したら、収入が入らなくなり大変になるのではないか、という恐怖心を、みなさん感じると思います。
まずこのリスクをコントロールする時に大事なのは、どれくらいまで自分のリスク許容度があるのかを正しく知るということです。
リスク許容度とは、例えば生活水準を自分がどこまで下げられるか、ということです。ここはあまり見たくないところかもしれないませんが、きちんと知っておくことが必要です。
例えば、今の給与の半分まで下がっても生活できるのか、給料として毎月いくらないと最低限の生活できないのか、という基準を、しっかり理解しておくことがすごく大事です。
森川:今の自分の現状を知るということですね。現状を知った上で、例えばタバコや飲み代など省けるところは省くというようなことを考えられますね。
坂本:毎月のキャッシュフローですね。まずは月々の家計簿でいいと思います。どのくらいの収入が必要で、どれくらいを貯蓄に回す、というような管理がきちんとできるかどうかです。
起業するとお金が出たり入ったりしていきます。いくらお金が残っているのかを把握できていないと、儲かっているのか儲かっていないのかわからなくなってしまうということが非常によくあります。
特に仕入れなどが発生するビジネスモデルの場合だと、いくら儲かっているのかわからなくなって、使ってしまってから実はそれは使ってはいけないお金だったということもあるので、お金の流れをちゃんと把握できるようにするということが、非常に大事ですね。
そして、例えば生活水準もどこまで落としても大丈夫なのかを把握出来るようにすることです。
恐怖の正体が把握できれば不安は無くなる
坂本:私の場合は、最悪の場合はトラックの運転手になればいいなと、起業する時に思いました。
今もそうかもしれませんが、長距離の運転手さんは結構稼げると聞いたことがあったので、最悪はトラックドライバーになって稼げばいいかなと思って会社を辞めました。なので、大型免許は持っていないのですが、マニュアル車を運転できるようになっています。
やろうと思ってることがうまくいかなくても、どこまでリスクを許容できるのかを理解しておくということがすごく大事かなと思います。
恐怖心というのはその正体が見えていないとすごく大きいのですが、恐怖の正体がちゃんと数字などのような目に見える形でわかると、恐怖がなくなりますし、コントロールすればいいんだということがわかってきます。すると、不安感がなくなるのではないでしょうか。
森川:その不安なところを不安なまま足がすくんでしまうと、チャンスを棒に振ってしまいますね。ですから今の先生のアドバイスは、そのような人が一歩踏み出す大きなアドバイスになると思います。
一方で、切り詰めてもこれ以上切り詰めることができないというラインがあります。すると、あとはいかにお金の不安をなくすかという手立も考えないといけないでしょう。坂本先生の著書では営業力について触れられていますが、
ご紹介していただいてるんですけれども、
そのあたりについて先生がよくされるアドバイスですとか、こういうことがリスクヘッジになるっていうことを教えて頂いてもよろしいでしょうか。
営業力は一番のリスクヘッジ
坂本:そうですね。営業力は、起業する上では一番のリスクヘッジだと僕は考えています。
私も銀行で営業経験があります。営業というのは、調整も非常に大事になります。いろんな人をつないで一つのプロジェクトを実現していくということも非常に大事にです。そういう意味で、営業スキルを磨いておくということは、起業する上でも非常に大事な要素かなと思います。
自分で売れる力があれば、どんな商品でも売れる力があれば、とりあえず食いっぱぐれることはありません。ですから、まず営業力を磨くというのは、すごく大事な要素だと思います。
森川:ものすごくおいしい料理を作るレストランが潰れてしまったり、下町のすごい技術力を持っている工場が倒産してしまうというような話はよくあります。いろいろな要因があると思いますが、やはり商品が良くてもそれを売る力が無いと、ビジネスを続けるのはなかなか難しいという一例ではないでしょうか。
坂本:そうですね。商品が良いのはもちろんですが、どうやって人を集めてどう販売していくのかという売る力ですね。
これを身に付けておくことが、起業リスクを一番減らす大きな武器ではないでしょうか。
森川:では、営業職に就かれていない方や、今働いていらっしゃらない方が、営業力を付けるためのアドバイスはありますか。
誰かに何かを売ってみる経験をする
坂本:実際に営業職に就くという方法もありますが、今でしたら例えばヤフオクやメルカリなどで何か物を売ってみる、というのも営業力を付ける方法の一つです。自分の家にあるいらない物をネットで売ってみる、フリーマーケットに出してみる、などもありますね。金額の大小に関わらず、小さい金額でもいいので誰かに何かを売ってみるという経験が、自分の営業力になっていきます。
売るものが自分の商品になっても同じことですので、営業の経験がない方は、まずは家庭にある不用品や余ってるものから売っていくというのが一つの解決策になるでしょう。
森川:営業が苦手という人は多いように感じます。例えば人と話すのが苦手とか、だから営業ではない仕事を選んでいるという人がいらっしゃると思います。
そういう方へのアドバイスはありますか。
その人に合ったものを提案できることが本当の営業力
坂本:営業が苦手だから営業できないとか、人見知りだから営業はできないと思う方が多いかもしれません。
しかし、意外と人見知りの人ほど営業マンに向いていたりします。なので、実は何かすごいグイグイ行く人だけが営業に向いてるわけではありません。営業は、その人の相性もありますし、やり方も人によって全然違います。営業力に関していうと、大事なのはやはり話を聞くということです。
相手が何に悩んでるのか、何に困ってるのかを、いかに引き出せるかです。何を求めてるのかを聞けるかどうかなので、聞く力が実は大事です。何を求めているのかを聞いてあげて、それに見合うものを提供していくのです。
なので、人見知りだから難しいのではなく、聞く力を磨いていけばいいのです。情報をリサーチして収集して、その人に合ったものを提案するというのが、本当の営業力だと思います。
森川:巧みなトーク力がないとなかなか物が売れないという先入観がありましたが、本質的なところを言うと、相手の要望や悩みを聞く力の方が求められるのですね。
坂本:そうですね。トークが得意な方はトークで勝負すればいいですし、逆に人の話を黙って聞いてあげて、理解してあげることができる方は聞く力で勝負すれば、営業力は培われていきます。
森川:ありがとうございます。今回は起業のリスクコントロールについて、例えば営業力を付けるお話や、自分の現状を見つめなおすというお話を伺いました。
また次回もよろしくお願いいたします。
坂本:はい、よろしくお願いします。
Podcastの音声はこちらよりご視聴ください
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/1000427735169/id1438479025?i=1000427735169
プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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