第18回
起業の秘訣は、弱いまま成功すること
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
※本コラムは、立志財団の森川応樹氏によるインタビュー形式にて掲載しております。
森川:今回は、坂本先生の著書「6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する」最後の「おわりに」について伺います。
ここは「弱いまま成功する」という副題ですが、坂本先生が「起業の秘訣は?」と質問された時には、やはりこの「弱いまま成功する」が一つの回答になるのでしょうか?
弱い所を克服するよりも、強い所を伸ばしていくことが起業には大事
坂本:はい、そうです。起業する上でいろいろな成功のポイントがありますが、やはりこの「弱いまま成功する」はすごく大事だなと思っています。
起業する時に強くなろうとするパターンが、結構多いのです。強くなるとはどういうことかというと、自分ではない自分になろうとするということです。
起業する時に、能力を高めるというのももちろん大事です。でもそれ以上に、自分の弱い所を努力して克服するよりも、弱さを認めて強い所を伸ばしていくということが、起業にとってはすごく大事なのです。
人間というのは、できないところを頑張って努力しても、なかなかできるようにはならないのです。
例えば、パソコンが苦手な人は、パソコンを練習してもちろん得意になることもあると思いますが、やはりなかなか難しいことが多いですよね。
それよりももっと、例えばその方が営業が得意だったら営業力を伸ばした方がいいし、自分の得意なところに集中していくことがすごく大事なのです。
そのためには、弱い部分を弱くていいんだと受け入れる必要があります。弱くていいんだと受け入れられずに、そこを克服して何でもできるようになろうとして頑張ると、できないことを無理にしてもあまりうまくいかないということが発生します。ですから、弱いところは弱いままにして、強い所をもっとさらに伸ばして起業することが、成功の秘訣だということです。
強い所を伸ばしていけば超一流にもなれる可能性がある
森川:あるサッカー選手のインタビューを思い出すのですが、その選手は点を取るタイプではなく守りが専門で、「自分はゴール前のああいう勝負どころでは緊張して力が発揮できないけれども、逆に守ることだったら人よりも一生懸命できるから、そっちを昔からやってる」のようなことを答えていました。
起業についても、このように進めて行く方が、より多くの方に貢献できる起業家になれそうですね。
坂本:本当にスポーツと同じですね。できないことを無理にできるようにするというのは、すごく時間も労力もかかって、できるようになったところで超一流になれるかというと、やはり難しいのです。
シュートでどうしても緊張してしまう人に、緊張しないようにすることができるかもしれませんが、それよりも、その人が本来発揮できる守備で力を発揮する方が、圧倒的に簡単に成果を出しやすい。さらにそこを伸ばしていけば、本当に一流じゃなくて超一流になれる可能性もあるということです。
ビジネスはそこを目指していかないといけません。二流・三流のままではビジネスはなかなかうまくいかないので、やはりどこか一芸に秀でたところがあるかどうかというのは、すごく大事になります。
森川:知人も友人もいない東京に一人で出てこられて、10年間頑張ってこられて年商5億まで伸ばしたという坂本先生ご自身の経験を聞くと、坂本先生は何でもできるといイメージを我々は持ってしまいます。
そういう坂本先生が、弱いままで成功すると言われるのはイメージとギャップがあって意外なのですが、坂本先生はご自身の体験から、そういうことを強く思われたということはありましたか。
早く自分が1番に分野を見つけることが大事
坂本:やはり私自身の起業してからの経験と、そして挫折の経験がすごく大きいと思います。
自分の弱いところを隠しながらやっていこうと思っても、やはりできる範囲は限られます。
例えば私の場合、コピーライティングが弱いところです。チラシを作ったり、ホームページで集客できるページを作ったりするときに、その文章を書くことをコピーライティングといいます。私はコピーライティングについて教えていますし、自分でも書きます。しかし、本物のコピーライターになれるかというと、ちょっとなれないんですよね。そこで勝負しようと思っても、なかなか成果が出ない。思ったような成果が出ないということがよくあります。
本物のコピーライターは、コピー1つで何千万稼いだりしている方がいらっしゃるくらいすごい世界なんです。では自分がそのような文章を書けるかというと、やはり難しいのです。
私の知り合いのコピーライターは、フェイスブックなどで文章を書いているのですが、やはりすごく面白いんですよね。深く納得して、学びを得て、日常の些細なことでもすごい気付きを与えてくれるような文章を書きます。
そういう文章を見ると、「あ、僕はやっぱりその人みたいにはなれないな」と思ったんです。なので、やはり自分が輝ける場所で輝こうと。
自分が勝てない分野で勝負しても、自信がなくなりますし、みじめになるだけです。一番大事なのは、早く自分が勝てる分野、自分が1番になれる分野を早く見つけるということだと思います。
森川:早く自分が1番になれる分野を見つける方法のようなものはありますか。
自分が強い場所を早く見つけられる方法として、勧めていらっしゃることはありますか。
自分の強みは周りの人に聞いたりや親を見て見つける
坂本:自分の強みというのは自分で見つけていかないといけないとはいえ、強みって自分では一番見つけにくい部分でもあります。なぜかというと、自分にとってはすごく当たり前にできていることなので、そこがまさか人ができないとは思わないわけです。
例えば、きれい好きで整理整頓がすごくできる人にとって、部屋を片付けるということは当たり前のことです。それができない人にとっては、全然できないことなのです。
なので、片付けができるということは強みなのですが、本人の家はきれいだからわかりません。自分の標準が、人にとっても標準だと思ってしまうからです。
そこを「あなたこれは、特別すごいんですよ」と知るには、はやり周りの人に聞いてみるということが、とても大事だと思います。
「自分の強みや弱みは何?」と聞くことで、客観的に自分自身を見ることができるということですね。
そして、もう一つの方法は、自分の親の強みを見るということです。
森川:親ですか。
坂本:はい、親です。自分自身は親からDNAをもらっていますので、やはり親の得意なところを引き継ぐというケースがすごく多いのです。
もちろん親の苦手な部分も引き継ぎますし、父親と母親の両方が混ぜ合わさるので、必ずしもイコールになるわけではないのですが、やはり両親の強いところは、自分の強みを見る上での一つのヒントになると思います。
森川:生まれ持った親からいただきもの、ですね。
坂本:そうですね、やはり両親からもらってるものが、自分のビジネスを考える上での強みにも直結しますね。
森川:弱いまま成功することが起業の秘訣、ということですか。
自分らしく、ありのままの自分で成功する
坂本:そうですね。何か自分じゃないものになろうとするのではなくて、弱い自分も強い自分も両方ひっくるめて自分なので、それをそのまま受け入れた上で成功する道を探していく、そしてそれに向かっていく、というのが起業の秘訣かなと思います。
森川:自分らしくというか、ありのままにというところが、やはり一番シンプルなのかもしれないですね。
坂本:自分じゃない何かになろうとして頑張っているとしんどくなりますし、そうすると途中で嫌になってきてやめたくなったり、何かあったらやめてしまったり、ということがよくあるということですね。
森川:今回は「おわりに」から、「弱いまま成功する」につきまして、起業の秘訣はありのままにそのままの自分で成功するということを教えていただきました。
坂本先生、今回もありがとうございました。
坂本:ありがとうございました。
Podcastの音声はこちらよりご視聴ください
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プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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