はじめての起業 成功の秘訣

第32回

起業アイデアがない? この方法ならビジネスとして成り立つアイデアが見つかります

一般財団法人 立志財団  坂本 憲彦

 

起業のアイデアがないものの起業したい場合にはどうしたらいいでしょうか?


起業してうまくいっている成功している人はどうやって起業のアイデアを生み出しているのでしょうか?


これまで1万人を超える人を指導してきたなかで分かったのは起業のアイデアがないという悩みは意外と多いということです。


私自身も起業したいとは思っていましたが、起業しようにもビジネスアイデアがまったくない状態でした。


何かやりたいという思いはあるけれども、具体的になにをしたらいいかが分からない状態です。


ですが、そんな起業のアイデアがないと思っている人でも、やり方さえ分かれば起業アイデアは見つかりますし、起業することはできます


そのための方法を今日はお伝えします。

 

起業するうえで画期的なアイデアは必要ではない

最初にお伝えするポイントは起業する上では必ずしも画期的なアイデアは不要だということです。


特殊な発明品や画期的なアイデアがないと起業できないと思っている人もいますが、そんなことはありません。


あるいは本当になにも思いつかないという人もいると思います。ほかにも思いつくアイデアはあっても「すでに誰かがやっていて意味がない」「本当にビジネスとして成り立つんだろうか?」と半信半疑になっている人もいます。


もちろん、新しい画期的なアイデアで起業する人もいます。


ですが、既存のものを組み合わせてそれをビジネスアイデアとして起業する人もいます

 

ありふれたカウンセラーが他にないカウンセラーとして起業できた方法

例えば、私が指導させていただいたなかにあるカウンセラーの方がいます。その人はカウンセラーとして仕事をしようにもなかなかお客さんが集まってきませんでした。


どうしたものかと考えたときに、自分がかつてあがり症で悩んでいたことを思い出しました(なぜ、そうした発想につながったかは後述します)。


また、その人はスピーチのやり方を学んでいてコンテストにも出場しているような人でした。それもあがり症の克服に役立っていたので、


「カウンセリング+スピーチであがり症を克服する」


という組み合わせで新しいあがり症克服のプログラムをつくりました。それで単にカウンセリングと謳っていたときに比べると、断然お客さんが集まるようになりました。


カウンセリング、スピーチというように1つだけを独立して見るとよくあるありふれたものになりますが、掛け合わせることで今までになかった新しいビジネスが生まれたと言えるでしょう。


1つ1つはありふれたものでも、掛け合わせることで今までにない組み合わせができないかと考えるのは良いビジネスアイデアを生み出す上でのポイントになります。

 

AppleのMacも既存のアイデアの組み合わせで起業

例えば、Appleなどが良い例です。当時のパソコンはフォントの美しさにこだわったものはありませんでした。そこに美しいフォントを載せたのがMacです。


それまでコンピュータにデザイン性はなかったところに、コンピュータ+デザインというのを生み出したと言えます。


なぜ美しいフォントをコンピュータに搭載するという発想に至ったかはスティーブ・ジョブズの経験が大きいです。


スティーブ・ジョブズは大学の授業がつまらなくて中退してしまいましたが、自分の好きな授業を受けようと思い、出席したのがカリグラフィーの授業でした。それがあったからパソコンに美しいフォントを入れようという発想になったといいます。


WindowsでもMacでもできることは大差ないにもかかわず、Macを選ぶ人がいるのは、新しい価値となって多くの人に使われるようになったと言えるでしょう。

 

起業のアイデアが思いついてもパクリになってしまうこともある?



世の中にアイデアはたくさんあります。ですから、自分の思いついたことが何か他のものに似ていてパクったと思われるのでは? という心配をする人もいるようです。


確かにせっかく斬新なアイデアを思いついたと思っても調べたら誰かがすでにやっていたというケースはよくあることです。


そういう場合はどうしようもありませんが、真似になってしまう、あるいは真似ることが必ずしも悪いわけではありません


当然、他人のアイデアを横取りするような行為はモラルに反しますからやってはいけませんが、学ぶことは真似から入るとも言われるように真似自体が完全に悪というわけではありません。


起業のビジネスアイデアも真似るは1つの手ではあります。ただ、真似ると言うよりも参考にするといったほうが適切でしょう。


例えば、飲食店のチェーンの業態が流行ると、次々と真似されるようなことはよくある話です。真似るのはリスクは少ない方法ですから、後発がどんどん出てくることはよくあります。


いきなりステーキがすごく流行ったときに、他も似たような店がたくさんできました。

 

起業アイデアを参考にするにあたっては市場規模をどう捉えるといい?


先ほどのいきなりステーキなどの飲食店の例だと、ある程度の規模が期待できる市場と言えます。


ですが、起業するにあたってはそうした市場規模がある程度あるところを狙うばかりではなく、いわゆるニッチ(すき間)な市場を狙った方がいいという考えもあります。


この大きな市場かニッチかというのは起業アイデアを考えるときにどう考えたらいいのでしょうか?


資金の限られる小規模な起業であればニッチに進んだ方がいいと言えます。例えば、専門に特化するような形です。顧客ターゲットや売り物を絞ります。具体的には居酒屋であれば、今はなんでもある総合居酒屋は流行らなくなっています。


提供内容を絞った焼き鳥専門の鳥貴族や串カツ田中などが流行るようになっています。和民も以前のような総合居酒屋をやめて全部業態転換しています。


「これが専門」というように謳ったほうがお客さんの引きが強くなります。


価格帯も低価格も高価格も用意するのではなく、徹底的に安くするか、高級路線でいくかというのが資金の限られるスタートアップの段階では有効になります。

 

起業アイデアを見つけるための具体的な方法と考え方



起業アイデアを見つけるにあたってクライアントの方に話すのは、まずは自分が面白いと思うものを全部体験してくださいということです。


面白いと思うイベントや流行っているお店に行ってみる、流行っているものを実際に買ってみる体験してみます。


そのときに、なぜ、人が集まっているのか? ということを考えることが大切になります。食べ物なら味がいいのか、今までにない新しい味なのか、など。


といっても、気を張って真面目に取り組むというよりも遊ぶことが大切です。遊んで自分が自然に面白いと思うことをいろいろやります。


自分が面白いものは自分のビジネスにも何か取り入れられないかと考えやすくなりますし、ポジティブな気持ちでいたほうが良いアイデアは生まれやすくなるものです。

 

アイデアを事業として成り立たせるには何をしたらいい?


自分の思いついたアイデアで本当にうまく起業できるのか? ビジネスといして成り立つのだろうか? と不安になる人はたくさんいます。


そうした不安を払拭して起業を成り立たせるためにはリサーチが鍵を握ります。ここでいうリサーチとは困りごとはなんなのかを見つけていくことです。


最初は漠然としていてもいいので、例えば飲食なら飲食、ITならITといったくらいの大まかな範囲でも構わないので、そのなかから業界の人が何に困っているのか? それを見つけていきます。


ビジネスの基本は人の困りごとを解決することなので、困りごとを探していくことでビジネスのヒントはたくさん見つかる。


例えば、ある会社では職場で昼食を食べに行ったり、買いに行ったりすることがしにくい状況にいたので、会社の中におかずを置いておいてお金を入れて自由にとれるようなサービスがありました。オフィスグリコがお菓子ではなくおかずになったような仕組みです。

 

質の良い起業のアイデアを生み出すために重要なこと


良いアイデアを生み出すに量が勝負になります。いきなり画期的なすごいアイデアはほぼ生まれません。たくさんアイデアを出したなかに良いアイデアがあるのが普通です。


誰もが当たり前のようにたくさんアイデアを出せるわけではありませんが、訓練すれば誰でもたくさんのアイデアを出せるようになっていきます。


といってもさすがに一朝一夕には無理がありますから、普段からこうしたら面白そう、こうやったらおもしろいだろう、人に喜ばれそう、儲かりそうというのをたくさん出すクセをつけるのがいいでしょう。


バカみたいなアイデアでもいいので、とにかくたくさん出すようにすることが大切です。100個に1個が当たりそうビジネスになる可能性があります。


アイデアを出すには質より量が大切ということを忘れずにどんどんアイデアを出します。

 

これがビジネスとして成り立ちやすいアイデアの特徴です


ビジネスとして成り立ちやすいアイデアには特徴があります。ポイントはお金を払ってでも解決したいかどうかです。


ビジネスの基本は困りごとを解決することですが、困りごとにも大きい小さい、深い浅いという度合いがあるものです。


では、どんなことがお金を払ってでも解決したいことなのか? それを知るためにはどうしたらいいでしょうか。


そのためには業界の既存のお客さんが何にお金を使っているかを知ることです。


例えば、少し前にはなりますが、ソーシャルゲームの課金を考えて見ましょう。ゲームをプレイしている人はアイテムを手に入れるためにお金を使うわけです。


ゲームに課金するということは今では当たり前になっていると思いますが、ソーシャルゲームが生まれた当初はそこにお金をかける人がいるかは分かっていなかったと思います。


どこかが試しにやってみたら一部の人はお金を払うというとがわかり、それが大きな収益モデルになっていったわけです。


お金を払ってでもキャラクターを強くしたいというようなニーズがあるんですね。たとえ、自分がそう思わなくてもそういう人が少なからずいるという事実が大切になります。そうしたニーズがないかを探していくとビジネスチャンスは広がるものです。

 

事業として成り立つアイデアを出すためのフレームワーク


起業のアイデアをたくさん出すフレームワークはたくさんありますから、ここではその先のビジネスを考えるときに使うフレームワークをご紹介します。


それがコアコンセプトというフレームワークです。コアコンセプトは「誰に」「何を」「USP」の3つから構成されます。


誰に、誰向けなのか。どんな価値提供をするのか。USPはユニークセリングプロポジションといい、他と何が違うのか、独自性は何かというところです。


誰に提供するのか、何を売るのか、独自性は何か。この3つのポイントでビジネスモデルを考えていくと、非常にシンプルにビジネスモデルが構築できていきます。


このフレームワークは私も今良く使ってますし、非常に効果が高いのでぜひ使ってみてください。

 

プロフィール

一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦

起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。

下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。

自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。

Webサイト:一般財団法人 立志財団

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