第38回
起業するときの相談相手を見極める8つのポイント
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
起業を志す人が増える昨今、ビジネスのアイデアを考えたは良いが具体的にどう行動してよいのかわからない、資金調達・経営計画はどうすればよいのかわからない悩みも同時に増えています。
そこで必要なのが、起業に際しての相談相手です。しかし、あなたの人生にとって重要な起業を進めるための相談相手が誰でもよいわけではありません。
せっかく志したあなたのビジネスを、アイデアのまま終わらせてしまうのはもったいないですよね。そのためには、より良い相談相手を見つけ具体的に形にしていくことが大切です。
そこで今回は「起業するときの相談相手を見極める8つのポイント」と題し、数多くの起業家を輩出している立志財団の理事長である、起業家教育の専門家・坂本憲彦先生にインタビューを行いました。その内容をわかりやすく解説していきます。
これからビジネスを具体的に形にされていくにあたり、相談相手や同志を求めているかたにとってのヒントになれば幸いです。
商工会議所と民間コンサルタントの違い
起業の相談となると、まず商工会議所の存在があります。皆さんは商工会議所と民間のコンサルタント・起業コミュニティとの違いはご存知ですか?
商工会議所は市などの商工業者によって組織された自由会員制の公益経済団体です。非営利団体で、各地方と企業の発展を目的としている組織としての信頼性はポイントとしてあります。
商工会議所では、創業資金などの融資関係が主な相談内容であることが多いようです。既にビジネスモデルと経営計画が固まっている人にとっては、有効な相談場所と言えると思います。
反対にビジネスモデルや経営計画の相談となると、商工会議所の担当者にもよりますが、それに特化した民間のコンサルタントの方が専門性は高い印象があります。
全国に存在する団体としての信頼はありますが、あくまで担当者がどれだけの知識を持っているかによりますので、実際に足を運んで自分の相談内容にどれだけ答えてくれるかを肌で感じて判断してみましょう。
簡単にお金が儲かる話には要注意
ここからは民間の起業コンサルタントを見極めるポイントをお話ししていきます。
まず、第一に注意すべきポイントは「簡単にお金が儲かる」ことを謳い文句にしているところです。ビジネスモデルが定まらないアイデア段階の方、副業から考えている方は特に抑えておきましょう。
言葉だけ聞くと「自分にもできそう」と響きはいいですが、結論としてはオススメできません。
そもそも誰でも簡単にお金が儲かるなら、教える必要もなくやっているはずです。ビジネスの競争原理的にも、簡単に儲かるような市場はすぐに飽和してしまいます。
最近の身近な例でいうと、SNSなどを使ったネットワークビジネスといったものに多くみられます。決して、それらのビジネスがダメだというわけではありません。
理解しなければならないのは「誰でも簡単にできる」と言われる内容でも、実際に成果を上げている人は圧倒的な量の作業をしているということです。
例えば、スマホでポチポチするだけ、ということについても成功者は徹底してそのビジネスに時間と努力を割いているのです。
簡単に儲かる甘い響きに惑わされずに、勧めている内容があなたのやりたいことと合っているかをブレることなく判断しましょう。
コミュニティ・フランチャイズは安ければいいわけではない
起業家の方が集うコミュニティへの入会、もしくはフランチャイズでの独立を考えている方もいらっしゃると思います。
情報収集や説明会などで検討することとして、登録料やロイヤリティーといった金額面は大きな要因となると思います。
どうしても安いところに惹かれてしまうのは誰もが同じではないかと思いますが、「安かろう悪かろう」という言葉もあるように、安ければいいわけではないことも実際の問題として理解しておきましょう。
コミュニティにおける質の高さはサポートがどれだけ充実しているかということです。
入ってみたものの、有益な情報が得られない、イベントが不明瞭であったり具体的なアドバイスがないなどの問題は起こりえます。
また、フランチャイズの場合で特に聞いておくべきことは、本部でどれだけの集客を行ってくれるのかということです。
フォーマットだけ受けて集客は投げっぱなしでは、良いフランチャイズ経営とはいえませんよね。
反対に、登録料だけ高額で後のサポートが不十分といったケースも起こり得ます。
ぜひ、コミュニティやフランチャイズの登録を検討されている方は、値段の問題だけに左右されずに「どれだけのサポートが受けられるのか」を具体的に質問するようにしましょう。
講師としての指導歴に着目する
ここからはより具体的に、相談すべき講師かどうかを判断するポイントについてご説明していきます。
まず着目すべきポイントは講師の指導歴です。どれだけの生徒に指導してきたかを判断する重要な指標になります。なぜなら起業における「講師」には資格が必要ないので、客観的な実績が鍵となるのです。
判断基準のポイントとしては最低でも5年、理想は10年以上です。
指導歴が長ければ、それだけ多くの生徒を指導し成功事例も豊富になってきます。多くのケースに有効なアドバイスできる知識があると言えるでしょう。
なので指導歴と合わせて、どれだけの生徒を指導してきたかを質問するのも良いですね。あなたと似た境遇の人がどのように成功したのかを知ることができれば、非常に有効なステップアップに繋げられると思います。
指導歴・指導人数に着目して、講師としての実績から相談できる信頼性があるかを判断しましょう。
講師ではなく生徒の実績が重要
よく間違えてしまうポイントに、講師の人自身の実績だけで決めてしまうことがあります。
講師の人の実績というのは、その人がかつて行ったビジネスでどれだけの成功を収めたかということです。例えば、保険の営業マンとして全国トップの実績がある、というようなことです。
なぜ講師自身が収めた成功では不十分なのでしょう。
それは、かつてのビジネスの成功は講師をする上での知識や経験になっていだけであって、「講師業としての実績」を保証するものではないからです。
よく言われる「名選手が名監督になれるわけではない」ということですね。その人の能力があったから上手くいったからと言って、他人にもノウハウを伝えられるかは別の問題です。
「講師業としての今の実績」は、先ほどお伝えした指導歴や指導人数が判断のポイントとなるので抑えておきましょう。
では、何を基準にすべきかと言えば、指導してきた「生徒の実績」です。その講師の方の指導を受けてどれだけの生徒がビジネスで成功しているかを質問すべきなのです。
先ほどお伝えした「指導した生徒の人数」だけでなく、「指導した生徒がどうなったかということですね。」
成功に導いた生徒の具体的なエピソードが出てくるのであれば、講師の方の「講師業」、「指導者」としての実力を担保することになりますので、成功した生徒の具体例を質問してみましょう。
講師の服装・身だしなみはチェックポイント
基本的なポイントになりますが、講師の方の服装や身だしなみは思っているよりも重要です。
当たり前ですが、服装がみっともない人をビジネスの相談相手として信頼しようと思うでしょうか。
服装はその講師のスタンスを表しています。イケイケな恰好をしていればイケイケな方針でやっているでしょうし、きちっとしていれば誠実で礼儀正しいスタンスです。
これは見た目の第一印象の話なので、講師の実績以前にあなたに「合う合わない」のレベルになってきます。
あなたと合わないスタンスの人のもとに着いたところで継続的に教わりたいと思えないのではないでしょうか。
話している内容に惹かれているとはいえ、服装や身だしなみから相談相手としてふさわしいか、そのスタンスを感じとるようにしましょう。
スタッフの在籍年数は信頼の証
講師の方だけでなくスタッフの存在もポイントになります。講師同様、身だしなみや対応の丁寧さはもちろんですが、講師とスタッフがどれくらいの付き合いなのかに着目しましょう。
スタッフの在籍年数が長ければ、スタッフの方達も講師と方針を共有して仕事をしているでしょうし、それだけ講師がスタッフから信頼されているということです。
つまりスタッフの在籍年数は、講師の人となりを客観的に見るための重要な情報になるのです。
説明会などがあれば、運営スタッフの方ともコミュニケーションをとる機会はあると思います。
その際は、どれくらい携わっているのか、どういったところに共感してサポートしているのか質問してみると良いでしょう。
講師だけでなく、スタッフの方達の人となりや働き方も参考にしてみてください。
講師自身の将来のビジョンが明確か
最後にお伝えしたいのは、講師自身の将来ビジョンが明確であるかです。
なぜ講師のビジョンが必要なのかというと、この先も起業家の指導やコミュニティを続ける意志があるのかを判断するためです。
ビジョンが明確でないと、遠くない将来に別の事業へといなくなってしまう可能性が大きくなります。俗にこのような人を「旅立つ系」と呼びます。
ビジョンを掲げて将来的にも指導にあたってくれそうな人と、「旅立つ系」の人では、果たしてどちらの指導を受けたいでしょうか?
もちろんビジョンがある人の方が信頼できますよね。
あなたが独立をしてビジネスを始めるビジョンを持っているように、講師にもそのビジネスで人の役に立ち成功するビジョンがあるはずなのです。
「起業」という道を歩むという点ではあなたも相談しようとしている講師も同じです。ビジョンが明確かどうかは、最も核心的なポイントと言っても過言ではありません。
意外なポイントかもしれせんが、今だけでなく将来的に信頼してコンサルを受けられるかどうかを見極めるためにも、講師自信がビジョンを語っているかを見る、もしくはこちらから将来のビジョンを質問してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。起業するときの相談相手を見極めるポイントを8つに分けて紹介しきました。
あなたの相談したい内容によって商工会議所なのか民間コンサルタントがいいのかは異なりますが、実際に話を聞いて判断することが大切です。
その上で、コミュニティや講師を判断する上での実績には「指導歴」「指導した生徒の実績」「スタッフの在籍年数」「ビジョンの明確さ」がポイントとなります。
このサイトを運営する立志財団では、起業の志を明確にした同志たちが集うコミュニティを運営しております。
20年以上にわたり延べ1万人以上を指導してきた坂本憲彦先生のコンサルも受けられますので、こちらもよろしければお話を聞いてみてくださいね。 https://sakamotonorihiko.com/
ぜひ、あなたのビジネスを形にしてより良いスタートを切り、そして事業の波に乗っていくための情報として活用していただければと思います。
プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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