第9回
「良い借金、悪い借金」の考え方
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
※本コラムは、立志財団の森川応樹氏によるインタビュー形式にて掲載しております。
森川:坂本先生今回もよろしくお願いいたします。
坂本:はい、よろしくお願いします。
森川:今回も、先生の著書「6つの不安がなくなれば あなたの起業は絶対成功する」の中から、第3章のお金の部分についてお聞かせください。
特に起業の経験がない、これから初めて起業する方の大半の方は、創業のためにお金を借りるという経験が初めてだと思いますので、不安を感じることががたくさんあるのではないでしょうか。
坂本先生が本に書かれております「良い借金、悪い借金」について詳しくお聞かせいただけますか。
投資のための「良い借金」と浪費の為の「悪い借金」
坂本:借金というと抵抗感を持つ方もいると思います。
僕は前職が銀行でした。銀行とは、お金を貸すことが仕事です。いわゆる金貸しという商売です。
銀行というと、世間一般的にはちょっと硬い仕事のように思われているかと思います。
しかしビジネスモデルとしては、いわゆる町の消費者金融さんとかとあまり変わらないことをしています。お金を貸して利息がいっぱいつくということです。
じゃあなぜ銀行だけはそんなに評価が高くなるのかというと、銀行は良い借金を貸してるというところだからです。
借金には2種類あります。1つは浪費のための借金ですね。例えば、旅行に行くとか、良い車を買いたいとか、遊びのお金に使うとか、そのような浪費のための借金です。これは悪い借金と言われてます。そのお金を借りても使っても何も生み出さず、ただお金が減るだけです。これは悪い借金です。
逆に良い借金とは、お金を借りたらそれ以上のリターンが得られるというものですね。そういうものに投資するためにお金を借りるのは、良い借金です。
銀行がお金を貸す理由は、良い借金だからです。そのため、銀行は評価が高いのでしょう。今は、実態としては銀行も消費者金融のようなこともしていますが。
だから借金というのは、払う利息以上のリターンを生み出せるのであれば、究極を言えばとどんどん借りた方が良いということです。
利息以上のリターンを生み出せる借金ならした方がいい
坂本:大きいところですと、ソフトバンクなども何兆円という借金をしながら事業をやってますけれど、その利息以上のリターンを得られる事業をやってるので、それはいい事業、良い借金だと言えますね。
あとは個人の方とかでも不動産投資などをしている方は、銀行からお金を借りて、それをよりその利息以上のリターンを生み出すアパートとか不動産に投資するので、これも良い借金になります。
この良い借金をいかに使いこなしていくかというのが、ビジネスを拡大していく上では非常に大事なキーポイントになります。
森川:ベストセラーの「金持ち父さん貧乏父さん」にも、借金すると月5万円を返さなくてはいけなくても、不動産を借りてその収入が6万、7万だったら利益になるからいい、ということが書いてありましたね。
これはビジネスでも個人のレベルでも全く同じですね。
坂本:そうですね。ポイントは、借りたお金を、その利息以上のリターンを生み出すものに投資できるかどうかということです。
リターンを生み出すものに投資できない借金は、しない方が良いです。逆に借金してはダメですね。
なので、このように借金というものをフラットに捉えることが大事です。
森川:借金をしたことがない人とか、大きいお金を借りるのが初めてという人は、返せなかったらどうしようという漠然とした未来に対する不安から、尻込みしてしまう傾向があると思いますが、先生おっしゃるように、リターンが見込めるかどうかを判断基準にすると、借金に対する先入観が軽減されるますね。逆に、本当に今必要なお金なんだと、自信をもって借りることもできるのではないでしょうか。
家計レベルでキャッシュフローをしっかり管理する
坂本:借金をする上でもう一つ大事なのが、キャッシュフローをちゃんと管理できるかです。
森川:キャッシュフローの管理ですか。
坂本:借りたお金を毎月返済していかないといけないので、事業に投資したら、毎月返済と利息分を含めて事業で利益を出せるのかというところです。ちゃんと収支をプラスにしていけるかどうかが、非常に大事です。
森川:例えば、毎月出ていくお金に加えて利息を返して、なおかつちゃんと利益が残せるように、しっかり管理したり計画を立てることが、借金をする上で大切ということでしょうか。
坂本:キャッシュフローとは、単純に収入から支出を引いて残ったのが利益なるというものです。
一番小さい単位ですと、自分の家計レベルでキャッシュフローが把握できているか、そしてちゃんとお金を残せるかが、まず大事です。これができないのであればなかなか難しいですね。
森川:クレジットカードを使って買い物をすると、あたかも自分がたくさんお金を持ってるように錯覚してしまい、支払いの時に現実を突きつけられるということが、クレジットカードを使い慣れてない人に多いそうですね。そのような人は、自分の家計のキャッシュフローをうまく把握できてなかったため、クレジットカードで錯覚を起こしてしまったということでしょうか。
ビジネスでは、クレジットカードに当たるのが、例えば掛け売りなどが関係するということでしょうか。
坂本:そうですね。そのあたりが関係しますね。
手元にあるお金は使っていいお金なのかを把握しておくこと
坂本:キャッシュフローの管理をきちんとして、手元にお金を残さないといけません。逆に手元にお金はあるけど、それは使ってはいけないお金ということもあります。資金管理がすごく大事になります。現金があるからといって利益が出ているとは限らないので、ちゃんと利益が出てるのかを管理することが大事です。
森川:今手元にお金があっても、例えば一週間後の支払いにそのお金を充てなくてはいけない場合、手元にあるお金全部が自分の自由になるお金ではないというような管理をするということですね。
坂本:特に最初に仕入れが発生するようなビジネスモデルの場合ですと、仕入れ資金が必要になります。
売れたら現金が入りますが、また次の仕入れに回さないといけません。すると、どこまでが利益でどこまでが使っていいお金なのかを、考えながらやっていけるようにならないと、ビジネスを回していくのは難しいでしょう。
時間軸で資金を管理して利益を残しておく
森川:ということは、キャッシュフローの管理とは、いつ入ってくる、いつ出ていくという時間軸で、お金をとらえる必要もありますね。
坂本:その時間軸をきちんと把握しながら、しっかりと利益を残していくよう考えます。
キャッシュフローがきちんと管理ができていないと、間違った用途にお金を使ってしまったり、するとお金がなくなってしまうこともあります。
森川:今まで売れなかったお笑い芸人さんが急に売れて、通帳にすごくお金が入ってきて、うれしくて使っちゃうと、翌年の税金を払うお金が無くなったというよな話をよく聞きますね。キャッシュフローが管理できないという意味では、これも同じですね。
坂本:起業をする人は、最初にまず家計でしっかりプラスに持って行き、そして事業でもちゃんと管理できるキャッシュフロー能力は非常に求められます。
リターンを生まないものには投資しない
坂本:稼いだら稼いだだけ使ってしまうという人はよくいます。銀行の時には、社長がフェラーリ買ったらその会社は危ないとよく言われていました。
フェラーリのようなリターンを生まない物に投資しだしているというのは、危ない兆しだとよく言ってましたね。
森川:そうですね。ありがとうございました。
今回は、特に多くの起業家の人が不安に思う借金につきまして、詳しく教えていただきました。
これからも宜しくお願い致します。
坂本:はい、ありがとうございました。
Podcastの音声はこちらよりご視聴ください
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プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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