第42回
人脈の広げ方。人脈ある経営者とは?
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
経営者、ビジネスパーソンにとって価値ある人脈を広げていくことは重要です。人脈によってビジネスの幅が広がったり有益な情報を獲得したりするチャンスは増えていきます。 では、プラスになる人脈とはなんでしょうか?どのように人脈を広げていけばいいのでしょうか? 人脈が足りないと思っていたり、反対に人脈に振り回されていると感じたりしている方は多くいらっしゃいます。 今回は、人脈を広げた方が良いメリットと、正しい人脈の広げ方、人脈が広い人の特徴をお伝えします。 上辺だけでない人脈を作りビジネスを発展させていくために、気軽に使われる人脈について改めて整理し、より良い実践につなげていただければ幸いです。
人脈を広げるメリット
お客様が増える
人脈が増えることによってお客様が増えるチャンスはあがります。つながりを持った方がお客様になることもありますし、あなたのサービスで解決できる人を紹介してくれる可能性も生まれます。 この紹介という方が実は重要です。直接つながりあった人がお客様になるかどうかではなく、その方のお知り合い、さらにそのお知り合いとたどっていけばあなたが力になれる人に出会える可能性はどんどん増えていきます。
協力してくれる人が増える
お客様を増やす観点だけではなく、人脈の広がりによってビジネの可能性も広がっていきます。あなたのビジネスを知っていただいたり、今求めていることを伝えることによってそれに共感して協力してくれる人が現れたりする可能性が上がります。 今すぐにビジネスで協業できないとしても、価値観が会う人と長期的につながっていることによって、いざ困ったときに助けてくれる人を増やすことができます。 お客様としての可能性だけではなく、あなたのビジネス拡大の仲間を増やす意味でも人脈は重要なのです。
自分だけでは知られない情報を得られる
人脈を広く持っておけば、異業種との方とも関わることができます。ビジネスの業務の中ではその業界の知識と、メインのクライアント様の業種について知ることはできても、それ以外の方から情報を得る機会は少ないです。 直接のビジネス以外の人脈を広げられれば、異業種の方から新たなビジネスの幅を広げられるような情報が得られるかもしれません。 経営者の方であれば、幅広く異業種の方とつながりを持ち自分では得られなかった情報を得ていくことをオススメします。
自分の信頼をあげるチャンス
人脈を広げるのは、このようにお客様や仲間、情報をえるイメージが強いかもしれませんが、相手に「与える」人脈は非常に重要です。 あなたの持っている人脈を紹介することで、あなたの信頼をあげることができます。その紹介で相手が喜んでくれれば、信頼関係は深まり強いつながりになっていくはずです。 もらうことではなく、まずこちらから与えられることはないか。ビジネスと同じ視点を持ち、与える可能性を探して人脈を広げるようにしましょう。
コストがかからない
人脈を紹介することにコストはかかりませんよね。知っている人を紹介し合うだけで、お互いの信頼をあげることができますし、それが上手くつながればビジネスチャンスも広がります。 つまり、コストをかけることなく信用の資産を積み重ねらせるのです。信用を作りながら、ビジネスを拡大するチャンスが巡り合ってくるのが人脈のパワーです。 人脈をください、というスタンスでは相手も気持ち良くありません。コストをかけることなく信頼を作ることができるのですから、こちらからどんどん紹介するスタンスで繋がっていきましょう。
人脈の広げ方
交流会への定期的な参加
あなたは交流会へ参加したことがありますか?交流会は業種・年代問わず様々なビジネスパーソンが集まります。経営者の人脈の広げ方としては基本的な方法となると思います。 交流会を有効に使って人脈を増やすためには、単発ではなく定期的に参加することをオススメします。単発で参加した交流会で名刺だけ交換した相手を人脈とは言いません。顔と名前が一致し、お互いのことを知って初めて人脈です。 なので、定期的に開かれている交流会であれば以前と同じ顔ぶれだったとしても、積極的に参加してコミュニケーションを取るようにしましょう。接触頻度を増やすとより信頼関係が作られます。
交流会の基本は「先に与える」、「売り込まない」
人脈を広げるメリットでお話ししたように、自分の人脈を紹介することで信頼を獲得することができます。紹介によって相手は感謝し、紹介した人も新しいビジネスチャンスができ、巡って自分の株をあげることができます。 なので、交流会でいきなり自分のサービス売り込みをしてはいけません。信頼関係を築けていないのにお客様になってもらおうというのは無理がありますよね。 まずは参加者に対して自分にできることはないか、先に与えられる人脈を探すことを意識しましょう。これは多くの方が間違えてしまっているのですが、交流会はいきなりお客様が現れる場所ではありません。 正しい人脈の広げ方は、まず与え貢献することです。人脈を紹介するスタンスで臨みましょう。与えることで得られた信頼が巡って、自分への人脈やビジネスチャンスになります。売り込みではなく、関係性の中での自然な営業・宣伝をしていきましょう。 紹介には原価がかかりません。ただ紹介したことがうまくいけば相手に数百万の利益をもたらすかもしれません。モノを使うとなるとコスト意識するのでホイホイとはできませんよね。 ビジネスの原則は「原価のかからないものは全てあげる」ことです。お手軽に信頼を得る機会を増やすために貢献する姿勢を基本にしましょう。
主導権を持てるコミュニティを持つ
参加する交流会やコミュティは3つほど持っておくことをオススメします。コミュニティにはそれぞれの特徴があります。複数に参加することで、良さや足らない点が見えてきます。 複数所属していればそれだけ知り合う人も多くなるだけではなく、別のコミュニティで知り合った人脈を紹介することができます。 あまり多すぎては定期的な参加が難しくなり、関係が薄くなってしまいますが、3つほど参加していれば、人脈をお互いに紹介し合うチャンスは多くなります。 そして、自分が主導権を握れる場所を見つけるようにしましょう。コミュニケーションが取りやすく、自分で場を回せる環境を作れていれば、自ずと付き合いたい人と認識してもらえるようになります。 自分が主導権を握ることに加えて、交流会の主催者と仲良くなることを意識しましょう。運営側に携わることによってより広く深くメンバーと関わることができます。 1つ参加していれば十分というわけではなく。3つは参加する交流会やコミュ二ティをつくり、自分が中心となって活躍できる環境を見つけてみてください。
SNSでつながる
SNSは時間や場所を問わず人と繋がれる強みがあります。オンライン化がますます増えた昨今、SNSで交流を持つのはまったく特別な方法ではありません。 SNSでは時間や場所を選ばないだけではなく、普通なら接点を持たないような人とつながることができます。例えば、本の著者になるような経営者はほとんどSNSを活用しています。 Facebook、Twitter、最近ではClubhouseが台頭していますね。それぞれのプラットフォームに特徴はありますが、どんな場所でも自分から貢献する姿勢が大切です。 どんなことをしたいのか、しているのかなど、積極的に発信してつながりを持つチャンスを増やしていきましょう。
過去の人脈をリストアップ
新しく人脈を増やす場所を探すのに加えて、過去に繋がった人脈をリストアップしてみましょう。前職や旧友など、実際に書き出して見ることで新たな発見があるかもしれません。 自分が求めている人脈は、その時のビジネスの状況によって変化します。過去に縁がなかったからと言って、今もそうとは限りません。 頭の中に浮かぶ人は普段から接点が多い人が優先されますので、書いてリストアップしてみるのをオススメします。 いきなりビジネスのつながりに発展するのは難しいかもしれませんが、近況報告などのコミュニケーションから貢献できることはないかと、再び信頼を深めるポイントがないかを探してみましょう。
紹介して欲しい人をあらかじめ伝える
人脈の広げ方として、具体的に「どんな人を紹介して欲しいのか」をあらかじめ伝えておくことが有効です。 知り合ったばかりの人に触れ回っているとあまり印象がよくないかもしれませんが、既に親しい人には伝えておくようにしましょう。 相手がどんな人脈を持っているのかを全て知ることはできません。どこでどんな巡り合わせがあるかは分からないので、信頼関係のある人には「自分の求めている人脈」をできるだけ伝えることを心がけてみてください。
人脈が広い人の特徴
価値観が合う人と付き合う
有効な人脈を維持し、信頼関係を築くために大切なのは「価値観の合う人と一緒にいること」です。即物的な利益や能力だけで判断しないことをオススメします。 接点が多いほど信頼関係は深くなっていきますので、長く一緒にいたいと思える価値観かどうかを優先した方が良いのです。これは採用についても同じことが言えます。 ビジネスなのですべてとはいきませんが、取りつくろわずに本音で付き合えないのは、やはりしんどいです。一緒にいて楽な人を優先した方が、素直に相手に感謝し貢献しようと思えるようになります。 何よりも、長く付き合いたくない人を紹介したいとは思いませんよね。 目先の利害が一致するかも大事ですが、長期的に付き合いたいと思えるか、価値観や雰囲気で交流を深めていく相手を見るのはビジネスでも意外に大事なのです。表面的でない人脈を持っている人はそう言った側面を見ていると言えます。
知識よりも人に貢献するのが好き
人脈の広げ方というと、幅広い知識を持っていて多くの人に情報を与えられるというイメージがあるのではないでしょうか? 確かにそれも一つの理由で知識や経験を武器に人脈を広げる人もいます。ですが、知識や経験の少ない人が人脈を広げられないわけではありません。前提として、人脈が広い人には純粋に「人が好き」、「貢献するのが好き」という特徴があります。 人が好きで興味を持っていれば自然に接点を持つようになります。そして接点を持つ回数が増えていけばお互いのことをよく知り信頼関係につながります。 知識や経験によって信頼は得られますが、相手への興味が失われれば次第に関係は薄くなっていくでしょう。ですので、自分には人に貢献できるような知識はないからと言わず、相手への興味を持って接するようにしましょう。 そう言った相手を増やしていけば、知識でなくともコストのかからない人脈を紹介できる貢献機会が生まれ、自分の信頼向上や求めている人脈が回ってくるようになります。
相手の話をよく聴く
人脈が広い人の特徴に「聴き上手」があります。自分やサービスをいきなり売り込まず、先に貢献するには「相手がどんな人で、何を求めているのか」を注意深く聴く必要があります。 コミュニケーションが上手というのは単に自分のことを話すのが達者というわけではありません。よく喋る営業マンは売れないと言われるのと同じように、人脈作りでも相手に話してもらうというのは大切です。 相手を理解しようとする態度が安心感と適切な貢献を作ります。自分のことを話すのに執着しすぎずに、相手の話を傾聴する姿勢で信頼を得ていきましょう。
連絡がマメ
恋愛に置き換えるとイメージしやすいと思いますが、やはり人脈が広く信頼される人はマメに連絡をくれます。ちょっとしたイベント後の挨拶メッセージにしても、何気なく連絡をくれるものです。 ほんの小さな連絡であっても、その積み重ねが安心感と信頼を与えてくれます。人脈の広い人は、細かい心配りで相手との接点を自然に増やしているのです。 都合の良い時だけ連絡を取る間柄では、なかなか次に発展するようなビジネスの話に至らなかったり、さらに人脈を紹介しあえる関係にはなれなかったりします。 ちょっとしたお礼や情報共有など、これも人脈と同じでコストがかかるわけではありません。定期的に連絡をとる心配りをぜひ実践して接点を増やしていきましょう。
知らないことは教えてもらう素直さ
知識よりも人が好き、とお話ししたように特別物知りでないからと言ってためらう必要はありません。自分の知らないことは興味を持って教えていただこうという素直さが大切です。 教えてもらうというのは、情報をくれ!という姿勢ではなく相手に関心を寄せているというサインです。相手としても、関心を寄せてくれるのは嬉しいことですので、素直さのある人には心を開いてくれます。 得られた知識は別の人に伝えるチャンスとなります。相手への関心と素直さは、伝えられる情報との好循環を生み出すのです。 また、いろんな人に関心を寄せて接していると情報処理能力も上がります。それは相手に関心を寄せているからこそ印象として記憶に残るのです。知識の幅が増えていけば自身も感性豊かで魅力的な人間となっていきます。 人脈の広い人は、素直な気持ちで相手に関心を寄せているのです。
まとめ
以上、人脈について「メリット」「広げ方」「特徴」からお話させていただきました。人脈を広げるには、即物的にお客様や情報を得ようというスタンスでは上手くいきません。 まずは自分から人脈を与えようとする貢献のスタンスがなければ相手を信頼を得ることはできません。 あなたも信頼していない人に仕事を任せることはしないと思います。すぐに結果を出そうとするのではなく、相手に興味を持ってコンスタントに接していくことが第一です。 ビジネスだからこそ、こう言ったコミュニケーションの基本となるあり方を忘れずに交流会やSNSと言った場所を活用して、有効な人脈を広げていきましょう。 正しい人脈の広げ方を意識すること、これからのあなたのビジネス拡大のヒントになれば幸いです。
プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
- 第43回 20年で1万人の起業家を見て分かった成功の結論
- 第42回 人脈の広げ方。人脈ある経営者とは?
- 第41回 成功する人の時間管理10選
- 第40回 成功に直結する10の習慣とは?
- 第39回 サラリーマンがリスクを抑えて起業で成功する3つのポイント
- 第38回 起業するときの相談相手を見極める8つのポイント
- 第37回 起業したいけどアイデアがない人が実践すべき5つのこと
- 第36回 営業経験がなくても起業で成功する3つの法則
- 第35回 売れる営業マンが実践している4つのポイント
- 第34回 【必読!】カウンセラーの仕事内容とは?
- 第33回 感動で相手の心を動かす方法
- 第32回 起業アイデアがない? この方法ならビジネスとして成り立つアイデアが見つかります
- 第31回 【5つの壁その4】組織化・仕組み化ができない壁
- 第30回 【5つの壁その1】起業家が必ずぶつかる5つの壁と、その乗り越え方
- 第29回 スティーブ・ジョブズ 真実の言葉【自らの信じた道を行け!】
- 第28回 ビジネスで本当の成功した人の考え方とビジネスで失敗する人の考え方の違いとは!?
- 第27回 なぜ田舎の料理教室に毎月100名以上が集まるのか?
- 第26回 【松下幸之助の教え】37歳で本当の使命を知る
- 第25回 カウンセラーとして独立開業する方法とは
- 第24回 良い経営目標とは?
- 第23回 本当に強い人とは、弱みをさらけ出すこと
- 第22回 経営で成功している人が必ず実践!経営者の一番大事な仕事とは?
- 第21回 起業準備のコツ教えます~知って納得!今すぐ実行しよう~
- 第20回 成功する人の行動、習慣、特徴について
- 第19回 夢と志の違いって何?
- 第18回 起業の秘訣は、弱いまま成功すること
- 第17回 起業に必要な知識を最短で手に入れる方法
- 第16回 知識がなくても起業できる
- 第15回 良い収益モデル、良くない収益モデル
- 第14回 本当にやりたいことで十分な収入を手にいれるには?
- 第13回 自動的に売上を上げるセールスフローの作り方
- 第12回 会社を辞めずに起業してみる
- 第11回 起業しても困らないリスクコントロール
- 第10回 「お金がないから開業できない」という問題を解決する方法
- 第9回 「良い借金、悪い借金」の考え方
- 第8回 みんながレビューする時代に勝ち続ける方法
- 第7回 お客様に選ばれるための「USP」の考え方
- 第6回 ビジネスを失敗させない「価値提供」の考え方
- 第5回 ビジネスを失敗させない「お客様像」の考え方
- 第4回 いい商品なのになぜか売れない
- 第3回 市場軸ビジネスで失敗した私のケース
- 第2回 起業は市場軸より自分軸が大切
- 第1回 はじめての起業で成功するためには?