第13回
自動的に売上を上げるセールスフローの作り方
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
※本コラムは、立志財団の森川応樹氏によるインタビュー形式にて掲載しております。
森川:坂本先生の著書「6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する」の中から、今回は第5章の「本当にやりたいことで十分な収入を手に入れる」について伺いたいと思います。
坂本:はい、よろしくお願いします。
森川:タイトルにあるように、やりたいことで十分な収入を手に入れるというのは、起業を志す人や起業に憧れてる人にはすごく魅力的というか本当に望ましい未来だと思います。
なので、多くの方がその方法にとても興味があると思いますが、坂本先生はやりたいことで十分な収入を手に入れる方法としては、どのようなことを教えられていますか。
セールスのフロントエンドとバックエンドを考える
坂本:本当にやりたいことで収入を得ることは難しいと考える方も多いかもしれません。しかし実際にやっていくと、実現することは可能ですし、実現している人もたくさんいらっしゃいます。
具体的にどういうふうに実現するのかというと、まずはセールスのフローを考える必要があります。セールスのフローとは何かというと、簡単に言うとフロントエンドとバックエンドというものです。
フロントエンドとは、まず自分のことを知ってもらう商品とかサービスです。バックエンドは、収益性の高い商品ですね。実際に収入につながる商品です。
例えば、健康食品で、初回お試し無料、初回お試しパックは1000円、何個で1000円などで、その後の継続購入は定価になるようなものがありますよね。
そのような流れを、自分のビジネスややりたいことで作っていくことができないかを考えます。これがまず大きなポイントになると思います。
森川:おそらく本命商品がバックエンドになるのではないかと思います。フロントエンドというワンクッションを入れることに対して、遠回りだと感じる人が結構いらっしゃるのではないでしょうか。
フロントエンドは自分の事を知ってもらうための手段
坂本:遠回りというより、逆にお客さんに階段を上ってもらいやすくするという感じです。
営業のテクニックで「フットインザドア」というものがあります。まずはお客様の所に足を踏み入れて、話を聞いてもらうという段階があります。
どんなビジネスでも、まずは自分のことをよく理解してもらう、知ってもらうということが大事です。高額なサービスや商品をいきなり買ってもらうのはなかなか難しいので、最初はまずは低価格のものを提供して、その次に本来買ってほしい物を提供するという方法です。この手段を知っているか知っていないかで、ビジネスのやり方が大きく変わります。
多くの人が、本来売りたいものをいきなり売ろうとしますが、それが特に高価格な商品であると、なかなかすぐに決断してくれたり買ってくれたりするのは難しいものです。
最初は無料、あるいは比較的安い価格帯にすることで、まずは自分のことを知ってもらい、そこから関係性を作ったりフォローをすることで、次の商品やサービスにつながってくるという流れが出来上がります。
森川:ということは、直接バックエンドを売ろうする方が逆に遠回りなのですね。
坂本:そうですね。考え方はいろいろありますから、いきなりバックエンドを売ったり提案したりというのも一つではあると思います。
フロントエンドだけ作っていても、バックエンドがないと収益は取れません。フロントエンドとバックエンドという2つのセットと落としどころは考えておくといいと思います。
コンサル系や教育系ですと、最初の無料相談で提案をしたり説明をしたりして、次の商品を買ってもらいます。無料相談なども一つのフロントエンドになると思います。
森川:セールスフローを作る上で注意すべき点や、大切なポイントはありますか。
フロントエンドであっても価格以上の価値提供をする
坂本:フロントエンドを作る時は、フロントエンドでしっかりと価値提供ができることがすごく大事だと思います。
安い物だからといって安かろう悪かろうのものを提供していると、せっかくそこで関係性ができたのに離れていってしまうということが、とてもよくあります。ですから、フロントエンドは無料であっても無料以上の価値を提供しないといけませんし、有料であってもその価格以上の価値があるものを提供します。
フロントエンドがあるからこそ本来のサービスや商品につながるのですから、必ず価格以上のものをしっかりと提供していきましょう。
森川:先ほどの健康食品の例のように、初回は無料で試供品プレゼントのようなことをしていますが、それでは初回だけで離れてしまう人が多いと赤字になってしまうように感じるのですが、そのあたりはあまり考えずにフロントエンドで出せるベストを尽くすという考え方でよろしいでしょうか。
坂本:そうですね。そこはちゃんとバックエンドの方の収益で取れる、回収できるように設定しているという形ですね。
セールスフローをしっかり設計すれば利益は得られる
坂本:ですから、例えば無料の試供品への申し込みが10人あったら、そのうち3人がバックエンド商品を買ってくれた場合に収益が成り立つ、というように設計します。
森川:なるほど。
坂本:ですから、やみくもに何かいいものを提供すればいいというわけではありません。
森川:全体の設計をきちんと考えることが大前提なのですね。
坂本:例えばマンションを買おうとした場合、新築のマンションならモデルルームへ見学に行きますが、そのモデルルームの費用も実はマンションの新築のコストに入っているのです。タダでモデルルームを見られるのですが、実はタダではなくてちゃんとマンションの価格に含まれています。
モデルルーム作るのにも下手したら1千万2千万かかってしまいますので、その料金もちゃんと入っているのです。
よく地方のマンションなどでは、買った瞬間に1割2割価格が下がってしまうというのはよくある話ですが、それは実際の不動産の価値ではなく、営業コストが乗っているので、買った瞬間に値段が下がるということが起きたりするのです。
森川:そうなんですか。全然知りませんでした。
坂本:フロントエンドでもちろん価値はしっかり提供するのですが、バックエンドでちゃんと回収できます。
バックエンドの収益率、利益率が高いと、逆にフロントエンドでいいものが提供できるのです。
よくある某製薬会社さんの無料お試しセットは、化粧品の無料お試しセットというCMをバンバンやっていますが、その会社ではお客さん一人を獲得するのに、無料お試しセットに2万円くらいかけてるんですよ。無料のお客様を獲得するのに、お試しセットとかもたぶん原価としては1万か2万くらいすると思います。
森川:そんなにかけてるんですね。
坂本:それでも、バックエンド、つまり本当に買って欲しい化粧品のセットを買ってもらえるという流れになってるのです。
セールスフローをきちんと設定するかどうかでお客さんに対する提案も変わってくるので、セールスフローをきちんと設定できると、お客さんにもメリットがありますし、自分たちも利益がきちんと取れるという流れになります。
森川:普通に考えて1万円2万円のものをタダでもらえるって、ありえないことだと思うのですが、それをもらうとやはりその商品の良さがすごく伝わると思います。また、フロントエンドで離脱する人がいたとしてもバックエンドでしっかり回収できるというのは、すごく設計がしっかりされてるんだな思いました。セールスフローをしっかり考えると、本当にやりたいことで十分な収入が手に入れられるんだなと思いました。
坂本:そうですね。セールスフローをきちんと設計すれば、自分のやりたいことがビジネスになって収益を得るということは十分に可能なので、しっかり組み立てるといいですね。
森川:やりたいことで収入を得るというと、それは無理だと思う人は少なからずいると思いますが、こういったことを1つ1つ丁寧にしっかり設計していけば、本当にそれを実現できるのだということがわかりましたし、多くの方に知っていただきたいなと思いました。
では坂本先生、本日もありがとうございました。またよろしくお願い致します。
坂本:はい、ありがとうございました。
Podcastの音声はこちらよりご視聴ください
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/1000428735941/id1438479025?i=1000428735941
プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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