第8回
みんながレビューする時代に勝ち続ける方法
一般財団法人 立志財団 坂本 憲彦
※本コラムは、立志財団の森川応樹氏によるインタビュー形式にて掲載しております。
森川:今回は、お客様に価値を提供するということについて伺いたいと思います。
坂本:はい、よろしくお願いします。
実質価値と感動価値を提供する
森川:価値を提供するということについて、今までどのように教えられてきたのでしょうか。
坂本:価値提供の時によくお話しするのが、実質価値と感動価値についてです。
まず、そのものの価値を実質価値といいます。そのものの価値なので、可もなく不可もなくというところです。これではお客様に感動は与えられません。感動が与えられないということは、口コミも起こらないということです。ですから、感動価値を意識しなければなりません。
要するに、お客様が期待している以上の価値を提供できるかどうかです。その積み重ねが口コミや評判を生み、お客様をさらに呼んでくるのです。
森川:坂本先生は、感動を与えるということに、こだわりや思い入れのようなものをお持ちのように感じられますが、いかがでしょうか。
期待以上の感動価値があると口コミにつながる
坂本:みなさんも経験あると思いますが、普通にお店入って期待以上の価値を感じたらお客様は喜びますし、期待以下だとげんなりしてしまいますよね。
例えばファーストフードのハンバーガー屋さんで、CMや広告のハンバーガーはすごくおいしそうなのに、現物を見たら残念な気持ちになることがよくあります。
もちろん広告用の写真はきれいに撮りますし、それは大事なことです。しかし、写真と現物にあまりにも差がありすぎると、残念だなと感じますよね。
期待値を超えられるかというのは、すごく大事です。例えば、おいしいと言われて飲食店に行って実際に食べたら、普通にしか感じられなかったこと、ありますね。おいしいって聞いていなければ、きっとすごくおいしいって感じたかもしれません。おいしいって聞くとハードルが上がったのですね。
だからといって、そのハードルを低くする必要はありません。期待を越えられるかどうか、期待値以上のものを提供できるかどうかで、お客様の感動が口コミやSNSでのシェアなどに反映されるのです。
今はみんながレビューする時代なので、感動価値がある会社とない会社では、やはり感動価値がある会社が強いですね。
森川:そうですね。
坂本:ある経営者の方から聞いた話です。その会社は以前、運転手派遣の事業をしていました。会社の重役さんの運転手の派遣です。
その社長さんは、もともとは運転手として働いていた方でした。昭和30年代、40年代というのは、裏でさぼったり、請求書をごまかしたりというような、あまりよろしくない運転手さんが多い時代でした。そこで彼は、「それは良くない。より良いサービスの運転を提供したい。」と思って、自分で会社を作ったのです。
時間は結構かかりましたが、結果的に大手の企業に採用されました。サービスはいい上に、コストは下がるということで、大企業の経営者の会の間で話題になり、そこから口コミが広がって、ワ〜ッと売り上げが伸びたそうです。
単に安かろうだけでもダメですし、サービスが良いだけでも足りないと思いますが、このように複合的に組み合わされて、「本当にここのサービスっていいな」とか、「これを使わないと絶対損だな」とお客様が思ってくれたら、お客様がお客様を呼んでくるようになりますね。このように巻き起こしていけるのが本当のサービスだと思います。
森川:売上を上げるというと、営業マンが一生懸命売り込みをして、その結果として売上が上がるというのが一般的なイメージかと思います。しかし今のお話を聞くと、サービスを提供するだけで、それが良い口コミや良い広告につながると、営業マンがいなくてもいろいろなお客様を連れてきてくれるのですね。商品そのものが営業マンになっているような感じでしょうか。
坂本:そうですね。商品がいくら良くても売れない、とよく言われます。売る人の力量も当然ありますが、基本的に売れる商品でないと営業マンも売りにくいものです。商品自体がお客さんに感動呼ぶものであるということが大前提だと思います。
特に今の時代はレビューの時代なので、よくないものはよくないレビューが広まりますので、感動する商品でなければ結局は売れませんね。
森川:正直者が馬鹿を見るといいますが、正直者こそ報われる時代になりつつあるようですね。
坂本:正直さがないとすぐ叩かれます。だから商売をするならなおのこと、誠実さが必要です。当然利益はちゃんと取らなくてはいけないけれども、ちゃんとお客様のためを考えたサービスを作っていくのが商売人の使命だと思います。
森川:感動価値の与え方や作り方について教えていただけないでしょうか。
原価0円でできるサービスは全部やる
坂本:まず、0円でできるサービスは全部やりましょう、ということです。
みんなサービスを結構サボっていますね。サービスとは、0円でつけてもいいものです。わかりやすい例で言うと、ハンバーガーショップでスマイル0円というのがありましたけども、これって原価はタダじゃないですか。原価がかからないものは、全てつけてあげるということです。
他には、フォローのメールを送ったり、レポートを送ったりです。こういう音声も、色々コストはかかっていいますが、いわゆる製造原価は安いので、無料でもお配りできますね。
原価0円で何かサービスできると思ったら、それは全部付けましょうということですね。それが感動価値にもつながります。
価値提供を組み合わせたサービスが感動価値につながる
坂本:それから、価値提供も組み合わせて価値提供できます。モノだけではなくてサービスもセットする、サービスにさらにモノも付けるということです。
常に期待を超えていって相手の不安をなくしてあげるようなサービスをセットして、パッケージにするのも一つかもしれません。
このようなものを提供すると、感動価値につながります。
森川:単に売ればいいとか、単にお金を回収すればいいとかという方法も、手離れが良いという点では悪くないと思いますが、お客様に対して気を配ったり、少し手間をかけたりして、結果的に感動価値を上げることが、結局はお客様も自分も幸せになるのですね。
坂本:手離れが良いということは、お客様も離れやすいということです。もちろんどこまでサービスできるかというと、やはりパーソナルなサービスですがいいですね。お客様に対してのサービスのようなものが提供できると、ファンになってくれやすいですね
森川:あまりお金を掛けずにでも、創意工夫と気持ちがあれば、いくらでもできるというのは、感動価値を作る上で非常にいいポイントですね。
坂本:単にお客様が買ってくれるだけではない付加価値ですね。これが付くと、お客様が感じる価値はすごく高まります。この商品を買って本当に良かったなと感じてもらえます。それがリピーターにつながるし、口コミにもつながります。
感動価値を提供した方が自分にもお客様にもメリット
森川:「好きなことで起業して、お客様と一緒に幸せになっていく」というメッセージが、先生の本では特徴的ですが、感動価値1つとっても、自分もやりたいこと得意なことで精一杯できて、それでお客さんにも喜んでもらってみんな幸せになるということが、非常にわかりやすいですね。
働き方や起業の仕方に大きな間違いはないかもしれませんが、どうせならみんなが幸せになれる道を選択するといいですね。
坂本:そうですね。やはり感動価値を提供した方が長く続きますからね。
お客様も本当に喜んでくれるし、それが自分たちにも利益として返ってきますので、長く商売が続けられると思います。
森川:ありがとうございます。
今回は、お客様に提供する価値について教えていただきました。
また次回もよろしくお願い致します。
坂本:はい、よろしくお願いします。ありがとうございました。
Podcastの音声はこちらよりご視聴ください
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/1000426489938/id1438479025?i=1000426489938
プロフィール
一般財団法人 立志財団
理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役 坂本 憲彦
起業家教育の専門家。
1975年、和歌山県生まれ。
一般財団法人 立志財団 理事長、株式会社ナレッジアクション代表取締役。
下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家の指導を続けている。
自社開催の起業教育セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。
「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、1.1万部のベストセラーとなる。
Webサイト:一般財団法人 立志財団
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