駒井研司が聞く プロの自己管理術

第13回

人と機械の間を極める研究者 渡邊恵太さん(1)

株式会社ネオレックス  駒井 研司

 

■文系もコンピューターの研究可能

 カメラとともに壁にかけられたモニター。そこには現在時刻と、ちょうど24時間前に録画されたその部屋の様子が映し出されている。そんな“時計”と暮らしたら何が起きるのか? 自身の居室で1カ月間実験したことがあるという渡邊恵太さん。他にも多くのユニークな実験や、システム、装置の開発を次々と手掛けてきた。こうした取り組みの背景にはどんな思いや行動があるのか。昨年春に開校されたばかりの明治大学中野キャンパスを訪れた。

 --研究の概要は

 「専門は『ユーザインターフェース』や『インタラクションデザイン』です。コンピューター全般において、使う人が実際に見たり触れたりする部分をどう設計すべきかという研究をしています。だから“人間”も研究対象です。このツールを使う人はどこまで自分でやってくれるか、どこまでは自動化しておかなければならないか。逆に、どこまで自動化してしまったら満足感を下げてしまうか、といったことです」

 --自動化で満足感が下がることもあるんですか?

 「例えば料理をすると『自分が作った』という満足感が得られます。でも、カップラーメンにお湯を入れただけではこの満足感は得られない。では『自分が作った』という感覚はどこから来るのか? こうしたことも追求しながら人とコンピューターの関わりを研究しています」

 --なるほど面白いですね。どうしてこの分野の研究に

 「高校2年生の冬、進路や将来について悩んでいました。コンピューターに興味があるけど、自分は理系じゃない気がするなと。塾の先生に相談したら(米アップル製の)Macの画面はエンジニアではなく心理学者が設計しているという話を聞かせてくれました。心理学者がコンピューターに関わることがあり得るんだ、コンピューターの設計なのに人間のことを考えているんだ、と知り感動しました。そして、理系じゃなくてもコンピューターの研究ができると分かったんです。その後『ヒューマンインターフェース』という分野があると知り『誰のためのデザイン』(ドナルド・A・ノーマン著、野島久雄訳)という本に出会いました。この本が、僕の人生を変えました」(つづく)



【プロフィル】渡邊恵太 わたなべ・けいた 慶大湘南藤沢キャンパス(SFC)で学び、政策・メディア博士号取得。明大総合数理学部先端メディアサイエンス学科、専任講師。32歳。東京都出身。


2014年1月6日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ 自己管理のためのiPhoneアプリ「MyStats」(マイスタッツ)発案者。


Webサイト:株式会社ネオレックス

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