第15回
コラム名変更に込めた想い
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤 伸夫
本コラムはこれまで「倒産企業から事業改善を学ぶ 〜元倒産審査マンが教える繁栄企業へのメソッド〜」としてお送りしてきましたが、今回から名称を改めて「会社千夜一夜 〜あなたの代わりに貪欲に学ぶコンサルタントのレポート〜」としてお送りいたします。今回は、この変更についての想いを、みなさんにお伝えしようと思います。
「知っている」ことが命運を左右する
経営のコンサルティング、もしくはマネジャー向け研修を行なってつくづく思うのは「知っていることが命運を左右する」ということです。経営の場面では、もちろん、知っているだけでは済まず、行動が必要です。しかしある行動が取れるのは、望む言動は何か、どこにポイントがあるか、なぜそれが必要なのか等を知っていることが出発点です。知らなければ行動することはできません。このため「社長がよく勉強している会社は業績が良い」と、かなりの確信をもって言うことができます。
例えば、新聞をよく読んでいる経営者は、競合他社が画期的な新製品を発表したことを知り、対策を打つかもしれません。法律が変わったことを知った経営者は、改正後に違法経営を咎められないように対応を始めるでしょう。毎日のニュースから国際的なトレンドを感じ取り、今後の戦略を練っている経営者も希ではありません。一方で、入手が難しい情報もあります。業界や個別企業固有のノウハウ(いわゆる「企業秘密」)は、最も入手が難しい情報です。それほどでもないけれども一般の方々には入手困難で、もし手に入れれば有効活用できる情報もあります。倒産企業が辿った事情はその代表格で、その考えから本コラムを「倒産企業から事業改善を学ぶ 〜元倒産審査マンが教える繁栄企業へのメソッド〜」と題し、一部のプロしか知らない情報を共有してきたのです。
一方で、街の本屋に並ぶ書籍や、インターネットサイト、公開されているセミナー、テレビやラジオの放送等から得られる情報に価値はないのかというと、そのようなことはありません。専門家は多くの専門情報を市販されている書籍やインターネットサイトから得ています(後者でいうと、官庁サイトは情報の宝島です)。また、専門外の情報について、特に間口を広げで情報収集したい時には公開セミナーやテレビ・ラジオから情報を得ています。経営者の苦労話やブレークスルーを紹介するテレビ番組を楽しみに視聴されている方々も多いことでしょう。
他人の学びを活用する
「経営者は勉強が肝心だとはよく聞くけどね、実際には勉強なんかしている暇はないな」という社長さん、マネジャーさんが多くおられます。実際、そうだと思います。経営者やマネジャーというのはとても忙しい仕事で、緊急に立ち向かわなければならない課題が山ほどあります。 他方で、ラッキーなことに、学ぶことは、自分自身で全て行う必要はありません。実際はその逆です。他人を使って学んだ方が効率良く、効果が高いことが少なくありません。難しい税務申告を全て自身でおこなおうとする経営者はいないでしょう。会社には経理担当を置き、税理士事務所と契約をします。こうやって考えると、学びを他人に代行してもらうことは広く行われています。その代行者になりたいと思ったのです。
企業の経営・改善に携わる者としての学び
私はコンサルタントとして経営者に寄り添って会社を強くする取組みを行っている他、研修講師として経営戦略やマネジメントを教授しています。研修講師は、情報の一方通行になりがちなセミナーとは異なり、経営者やマネジャーが遭遇する問題・課題への対処方法をお伝えすることに力点が置かれます。複雑な状況下で仕事に取り組む皆さんの高度な課題・ご質問等にお答えするため、かなりの時間を学びに費やしています。
ここでいう「学び」の情報源は多岐に及びます。書物やHPなどはもちろん、実例は的確かつ効果的なアドバイスにつながります。現職・前職などで出会った1万8000を超える中小企業の実例はアドバイスのタネの宝庫です(もちろん、プライバシーや業務上の秘密、情報開示がモデル企業への損失を与える可能性等を注意深く排除しながらです)。雑誌や新聞、テレビ番組などからは、最近の、特に大企業のケースの情報が得られます。「こんな番組がありました」と伝えるだけでなく、クライアント企業と比較分析して解りやすく示唆が得られるよう提供することが、専門家の役割だと考えています。
「このような専門家の学びは、読者である経営者やマネジャーの皆さんのきっと役に立つ。」そのように考えて、本コラムを名称変更し、内容を充実させることにしました。倒産企業のケースだけではなく、今後は特に「経営者・マネジャーと向き合って気が付いたこと」、「街の風景で得られる経営上の示唆」、そして最近私が力を入れている「経営改善やマネジメント方法等をいかに効果的に経営者やマネジャーに伝えて行くか」等についてお伝えしたいと考えています。是非、今後を、楽しみにしていてください。
<本コラムの印刷版を用意しています>
本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。また、コラム(本欄)ではコンパクトにまとめたStrateCutionsからのご提案についても、各項目をしっかりとご説明しています。印刷版を利用して、是非、繁盛企業になるための方法を倒産企業からしっかりと学んでみてください。
プロフィール
StrateCutions
代表 落藤 伸夫
1985年中小企業信用保険公庫(日本政策金融公庫)入庫
約30年間の在職中、中小企業信用保険審査部門(倒産審査マン)、保険業務部門(信用保証・信用保険制度における事業再生支援スキーム策定、事業再生案件審査)、総合研究所(企業研究・経済調査)、システム部門(ホストコンピューター運用・活用企画)、事業企画部門(組織改革)等を歴任。その間、2つの信用保証協会に出向し、保証審査業務にも従事(保証審査マン)。
1999年 中小企業診断士登録。企業経営者としっかりと向き合うと共に、現場に入り込んで強みや弱みを見つける眼を養う。 2008年 Bond-BBT MBA-BBT MBA課程修了。企業経営者の経営方針や企業の事業状況について同業他社や事業環境・トレンドなどと対比して適切に評価すると共に、企業にマッチし力強く成果をあげていく経営戦略やマネジメント策を考案・実施するノウハウを会得する。 2014年 約30年勤めた日本政策金融公庫を退職、中小企業診断士として独立する。在職期間中に18,000を超える倒産案件を審査してきた経験から「もう倒産企業はいらない」という強い想いを持ち、 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を中心した企業顧問などの支援を行う。
2016年 資金調達支援事業を開始。当初は「安易な借入は企業倒産の近道」と考えて資金調達支援は敬遠していたが、資金調達する瞬間こそ事業改善へのエネルギーが最大になっていることに気付き、前向きに努力する中小企業の資金調達支援を開始する。日本政策金融公庫で政策研究・制度設計(信用保証・信用保険制度における事業再生支援スキーム策定)にも携わった経験から、政策をうまく活用した事業改善支援を得意とする。既に「事業性評価融資」を金融機関に提案する資金調達支援にも成功している。
Webサイト:StrateCutions
- 第49回 期待によるモチベート
- 第48回 「褒める」はモチベート策になるか?
- 第47回 モチベーション策を考える
- 第46回 年末にモチベーションを維持する
- 第45回 台風19号で被災した中小企業への支援
- 第44回 理解力を高める唯一の方法
- 第43回 理解力低下の破壊力
- 第42回 こんな会議になっていませんか?
- 第41回 理解力について職場の「あるある」
- 第40回 上級マネジメント・チェックリスト
- 第39回 吉本興業に必要な上級マネジメント
- 第38回 吉本興業事件の真の原因は何か?
- 第37回 顧客かつ対戦相手として研修生と向き合う
- 第36回 研修の前からスタートする
- 第35回 受講生と足並みを揃える
- 第34回 5次元社会で活躍が期待される人材像
- 第33回 今、存在しない人材の育成
- 第32回 どんな人材を育てようとしているか
- 第31回 新人研修でカルサバから脱皮する
- 第30回 カルサバ人材開発計画が危険な理由
- 第29回 カルサバ人材開発が企業をダメにする
- 第28回 最も困難な人材開発から学べること
- 第27回 最も困難な人材開発から学ぶ
- 第26回 飛躍できる企業を育てる
- 第25回 孫社長の飛躍の秘密
- 第24回 カルロス・ゴーンの2つの教訓(2)
- 第23回 カルロス・ゴーンの2つの教訓(1)
- 第22回 人材難を乗り越える人材育成教育
- 第21回 人材難を乗り越える人材育成の方法
- 第20回 人材難を乗り越える人材育成
- 第19回 目指せ!新ビジネスモデル
- 第18回 人手不足にどう対応するか
- 第17回 起業家が犯しやすい間違い
- 第16回 挨拶できてもダメなお店・企業
- 第15回 コラム名変更に込めた想い
- 第14回 従業員を軽視した工場のケース
- 第13回 準備で忙しかった先生のケース
- 第12回 経理の疎さが危機を招いたケース
- 第11回 周囲を蹴落としたら自分の所在もなくなってしまったケース
- 第10回 お金の使い方でサラリーマンから卒業できなかったケース
- 第9回 事業承継への消極性が企業の持続力を奪ってしまったケース
- 第8回 二代目の多店舗戦略が裏目に出たケース
- 第7回 リスケ後に安穏としてしまったケース
- 第6回 消極投資で自分を窮地に追い込んでしまったケース
- 第5回 自信を持った二代目社長のケース
- 第4回 経営改善に踏み込めなかったケース
- 第3回 金融機関を渡り歩いて事業改善を怠ったケース
- 第2回 仮説に固執して事業改善のタネを見付けきれなかったケース
- 第1回 事業改善して繁盛企業になれる方法を倒産企業から学ぶ