第13回
「Z世代」を取り込むことで勝機を見いだす
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストM
また最近、大学の授業に触れる機会があったのだが、ここでも教授が情報を2倍速で流していた。新型コロナの流行で対面授業がなくなり、自宅などで講義を2倍速で聴いていた学生にとって、リアルでの授業は教授の話がゆっくり過ぎてイライラスするらしい。Z世代に受け入れられる講義が求められる教授もつらいものがある。そういえば最近はやる歌謡曲もイントロがないらしい。
倍速だけではない。テレビのあるワイドショーでは「ネタバレ視聴」について解説していた。映画やドラマなどの結末を先に見て「おもしろい」ことを確認してから観賞することだそうだ。時間の無駄を省くためというが、なんとも忙しい。効率性を重視し回り道が嫌いなZ世代はコスパ(コストパフォーマンス)ならぬ、タイパ(タイムパフォーマンス)が大事なのだという。それだけ情報があふれかえっており、短期間で大量の情報をストレスなく処理しなければならない時代ともいえる。つまり必要な情報を取捨選択する能力が求められるわけだ。
一方で、情報の供給過多にもかかわらず、知らないことで周りから取り残されたり、友達から外されたりする恐怖や、素早く反応する共感強制力におびえる若者たちでもある。他者からの評価に敏感で承認欲求が強いからだ。「おもしろい」と思ったことを共有したい、自分の考えを認められたいと考える世代といえる。自分の考えを積極的に発信し、同じ考えを持つ人たちとコミュニティーを作る人が多いといえる。
消費者としてのZ世代は「モノ(商品)」より「コト(体験、サービス)」に価値を見いだす傾向が強い。お金で買えるモノより、イベントやライブなどへの参加といった体験を重視する傾向にある。例えば洋服でも「これがほしい」ではなく、「この体験にあうものがほしい」というわけだ。環境問題やダイバーシティ(多様性)などへの関心も強いといわれる。
デジタルネーティブで効率性を求めるZ世代が今後、社会や経済の主役になるのは間違いない。こうした若者に支持される企業になるにはタイパを意識した商品・サービスの提供が欠かせない。また自己実現や社会貢献にも意欲的なので、就職先として選ばれるにはワーク・ライフ・バランスや働き方改革に積極的に取り組む必要がある。
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- 第17回 企業は稼いだお金を設備と人への投資に回せ 競争力を高め持続的成長へ
- 第16回 インパクト・スタートアップが日本再興の起爆剤 利益と社会課題解決を両立
- 第15回 適材適所から適所適材への転換を ヒトを生かす経営
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- 第13回 「Z世代」を取り込むことで勝機を見いだす
- 第12回 改革にチャレンジした企業が生き残る
- 第11回 「型を持って型を破る」 沈滞する日本を救う切り札
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- 第3回 東芝VSソニー 複合経営は是か非か 稼ぐ力をつけることこそ肝要
- 第2回 トップは最大の広報マン、危機管理の欠如は致命傷
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