第2回
トップは最大の広報マン、危機管理の欠如は致命傷
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストM
危機管理能力のなさはトップとして致命的だ。トップの器の問題でもあるが、保身が第一で企業を守る気がないとしか思えない。「お客さま第一」の掛け声も空しく響くだけだ。他社が不祥事を起こしても。そこから学ぼうとせず「うちは大丈夫だな」程度で終わってしまう。他山の石として事の重大さを認識し、徹底的に危機管理の行動を起こすべきなのにできない。
危機管理とは最悪の事態を想定して備えることだ。しかし、危機管理という広報マインドの備わっていないトップのもとでは、企業は存続すら危うくなりかねない。「企業は営業不振ではつぶれないが。広報が機能しないとつぶれる」と断言する経営者もいる。不祥事への対応に失敗してコーポレートブランド価値を失い市場からの退場を余儀なくされた企業が存在したことからも明らかだ。
逃げるトップに対し、「記者会見はどこで行うのか」と矢面の先頭に立つトップもいる。トップが顔を見せて説明することで不祥事への本気の対応を印象づけられる。それにより被害防止対策のスピードアップと会社に対する信頼低下を防ぐことができる。危機管理能力にたけた、まさに「最大の広報マン」だ。
このように、すべての責任を取る覚悟をもって事に当たるトップほど頼もしい存在はない。言い換えれば、トップは広報力を企業の成長の原動力と位置づけるべきであり、トップ自らが広報力を身につけなければならない。「広報力がすなわち経営力」なのだ。企業の本質は不祥事の時に現れるといわれるゆえんだ。
インターネットの発達とそれに伴うソーシャルメディアの台頭で情報の受け止め方も多様化。特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の浸透で、誰もが“記者”になれる。企業にとっていい情報も悪い情報もネットを通じて自由に飛び交うようになった。コロナ禍で先が読めない今、企業の顔であるトップが何を考えているかに注目が集まる。それだけトップの発言は重い。その一言が企業価値を上げたり下げたりする。だからこそ情報発信力、危機管理を担う広報力が問われる。
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- 第20回 稼ぎ方を忘れた株式会社ニッポン 技術力で唯一無二の存在を生かして価格優位をつくり出せ
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- 第17回 企業は稼いだお金を設備と人への投資に回せ 競争力を高め持続的成長へ
- 第16回 インパクト・スタートアップが日本再興の起爆剤 利益と社会課題解決を両立
- 第15回 適材適所から適所適材への転換を ヒトを生かす経営
- 第14回 日本経済の再興には「人をつくる」しかない 人材投資で産業競争力を強化
- 第13回 「Z世代」を取り込むことで勝機を見いだす
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- 第11回 「型を持って型を破る」 沈滞する日本を救う切り札
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