多言語化を制するものがグローバル化を制する

第74回

世界の商談ミーティング: 台湾 (独断と偏見シリーズ)

WIPジャパン株式会社  上田 輝彦

 

世界の商談ミーティング: 台湾


若い世代を中心に、中国とは異なる民主主義や自由を重視する価値観を持つ人が急速に増えています。一方で、中国大陸のビジネス文化とは類似点が多いです。

台湾で使用される言語は多岐にわたりますが、話し言葉としては、主に標準中国語(台湾華語)が最も広く使われています。約8割の台湾人が流暢に話すことができるこの言語は、事実上の公用語として機能しています。しかし、台湾語(閩南語)や客家語、原住民族語など、地域や民族ごとに異なる言語も存在し、特に南部や中部の地域では台湾語が多く使用されていることが特徴です。

読み書きについては、繁体字を使用します。これは、中国本土で使用される簡体字とは異なり、旧字のような漢字を使います。台湾と中国大陸の間では、語彙に10〜15%の違いがあるとされていますが、日常会話では、文脈や状況に応じて意味を推測できることが多く、特にメディアや文化交流の影響で両者の違いは徐々に縮まっています。

一方、台湾政府は英語教育に力を入れており、2030年までにバイリンガル国家を目指す方針を打ち出しています。これにより、若い世代を中心に英語力が向上しつつあります。日本語も台湾では一定の影響を持っており、2021年の調査によると、台湾人の約41.5%が少しでも日本語を話すことができるとされています。このため、台湾で英語や日本語が通じる場面も少なくないものの、ビジネスの場ではやはり中国語が基本となることを念頭に置くべきです。

台湾のビジネス文化ですが、まず、時間に対する感覚が大きく異なります。台湾では、大企業の社員は時間厳守、中小企業の社員は会議やオンラインミーティングで遅れることが多いです。相手の遅れに対してイライラせず、他の作業をしながら待つぐらいの寛容さが大切です。

また、台湾人は非常にストレートに意見を伝える傾向があり、価格交渉の際には特に直接的なアプローチが取られます。値切り文化が根強く、交渉の場ではターゲット価格を明確に提示されることが多いため、日本企業も明確に意見を述べることが求められます。台湾では即断即決が好まれるため、日本式の「持ち帰って検討する」といったプロセスは嫌われるでしょう(微笑)

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WIPジャパン株式会社
代表取締役会長 上田輝彦(うえだ てるひこ)

福井・兼業農家出身。中・高では卓球選手。数学・世界史・世界地理を愛好。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

一般社団法人クールジャパン協議会 専務理事


Webサイト:WIPジャパン株式会社

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