多言語化を制するものがグローバル化を制する

第16回

2020年7月のニュースレター

WIPジャパン株式会社  上田 輝彦

 

コロナウイルス感染防止で大変な中、お元気ですか? 


2020年7月のニュースレターは…


コロナなかりせば、今月24日東京五輪開会式でしたね

長い自粛生活になれてしまい、東京五輪を忘れてしまいそうになる(苦笑)この頃ですが、元気にお過ごしでしょうか。


コロナがなかったら、今頃、東京国際クルーズターミナルが開業、選手村が開村、世界中から選手たちが続々と来日し事前合宿の様子やイベントが連日報道され、日本選手団の結団式や壮行会が開かれ、開会式に先立ってソフトボール日本戦が開幕、プロ野球が中断、大型クルーズ船によるホテルシップ開始、24日に東京五輪の開会式でした。


さて、来年2021年7月23日開会に延期されましたが、はたして開催できるのか、再延期になるのか、中止になってしまうのか。まだ誰も予想がつきませんが、関係者の皆さんのご苦労をお察し、暑中お見舞い申し上げます。


そもそも、なぜ私たちが翻訳サービスを始めたのか、という話

私たちWIPはもともと、海外進出をめざす企業などへのリサーチ・マーケティング情報サービスを生業とする会社でした。そうした業務においては、当然、外部の翻訳会社を利用する機会も数多くありました。しかしながら、そこで不満を感じることが多々ありました。どんな点が不満だったか。次号で述べますが、敢えて一言でいうと、従来の翻訳会社が「多種多様なニーズの違いに対応できない」という点でした。


とにかく、私たちの翻訳サービス事業は、自分たちの感じたさまざまな不満からスタートしました。既存の翻訳会社に頼れないのならば、自分たちで満足できる翻訳体制を創り出すしかない。こうして自社のために創り出した翻訳のしくみが、やがて事業分野の一つとなり今日に至っています。


BOOK Review:「日本語が世界を平和にするこれだけの理由」

カナダの仏語圏ケベック州で四半世紀にわたり日本語を教えている著者は、英文法を土台にして教える現代日本語の文法教育に真っ向から反対しています。


母語である日本語を日本人自身がよく分かっていないという主張には耳が痛くなりますが、「人名・地名」「声(周波数)」「視線(目線)」「愛の告白方法」「道の聞き方」などのトピックで英語・仏語と比較しながら展開する日本語論に何度も「なるほど」と唸らされます。


日本語は主語がいらない(英語もシェークスピア時代から主語が必要になっただけ)。述語だけで文章が成立。相手と場を共有する言語なので共視・共感が発達しやすい。日本語を勉強する現地学生が日本に留学すると顔つきや話し方が日本的になるとのこと。


言語に優劣はないのは言うまでもなく。おススメします。


 “social” :「社会」という訳語の前に「人と人が会うこと」を想像したい

感染症対策が始まってから、「対人距離を確保すること」を意味するソーシャル・ディスタンス(英語では“social distancing“)という言葉を耳にするようになりました。日本のメディアでは「社会的距離」という日本語訳をあてているようですが、「社会に対して距離を置く」と理解する人もいて、社会と分断されてしまう印象になりニュアンスが異なってしまいます。


WHOでは最近、”social distancing“ ではなく “physical distancing”(身体的距離)を用いることを推奨しているようですが、英語の “social“ という単語には、元々「人が人と会うこと」への視点が含まれているので「人が人と会う際の距離(=対人距離)を置くこと」だと理解できるのです。


一服の清涼剤として、ご笑覧いただければうれしいです。


この記事の提供元:WIPジャパン株式会社




 

WIPジャパン株式会社
代表取締役会長 上田輝彦(うえだ てるひこ)

福井・兼業農家出身。中・高では卓球選手。数学・世界史・世界地理を愛好。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

一般社団法人クールジャパン協議会 専務理事


Webサイト:WIPジャパン株式会社

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