日本・ASEANだより

第17回

【続報4月24日・タイ】新型コロナウィルス(COVID19)対策に関連するアップデート

朝日税理士法人  執筆

 

4月14日以前に掲載しました下記内容にアップデートがありましたのでお知らせ致します。(太字)

特に、休業期間の所得補償について、以前は、政府命令によって強制的に休業せざるを得ない場合のみが対象でしたが、経済の失速によって影響を受けた会社が、休業せざるを得ない場合も対象となり、対象者の拡大が行われました。

ー休業補償関連ー

ー休業期間の所得補償ー

政府の命令や、COVID19の感染リスク対応、経済失速により会社業績が急激に悪化した等の理由により、臨時的に全部もしくは一部休業の必要がある場合、国の救済策として、90日を上限として従業員賃金の62%が補償されます(上限15,000バーツ/月×62%=9,300バーツ)。

申請は雇用主及び従業員双方より以下の社会保険事務所のウェブサイトフォームより行う必要があります。

https://www.sso.go.th/eform_news/sso-covid19-benefit1.html

(従業員用フォーム)

https://www.sso.go.th/eform_news/sso-covid19-benefit3.html

(会社用フォーム)

※ 従業員は、補償を申請対象期間の給与を受け取っていないことが要件となります。

※ 現時点では補償がいつ受け取れるのか未定です。申請フォームに従業員の銀行口座の記載を求められているため、当該口座へ入金されるものと思われます。

ー事業休止等を理由とした解雇、自己都合による退職ー

事業の休止等を理由として、従業員との雇用契約を終了する場合、社会保険より200日を上限として賃金の70%(最大10,500バーツ/月)が補償されます。

従業員が自己都合により退職する場合は、90日を上限として賃金の45%(最大6,750バーツ/月)が補償されます。

上記、いずれも、2020年3月から2022年2月の間に事象が生じた場合が対象となります。

ー年次申告関連ー

ーBOI監査の期限延長ー

BOIの法人税免税恩典を使う場合の、いわゆるBOI監査について、決算日より120日内にBOIに提出すべきところ、法人税申告書(PND.50)の期限延長に合わせ、2020年7月31日まで(または歳入局へ法人税申告書を提出する30日以上前まで)に延長されました。

ー通信による株主総会、取締役会の開催ー

出席者全員がタイ国内にいること及び出席者の1/3以上が同じ場所に居なければならない要件が無効化され、タイ国外から通信を利用して株主総会、取締役会に参加することが可能となりました。

株主総会

委任状による代理出席が認められていましたが、WEB会議等による海外からの参加によりその必要が無くなりました。

また、招集通知・委任状・総会議事録等は電子媒体による保存が可能になりましたので、署名に係る原本のやり取りが不要になりました。

取締役会

委任状による出席や、書面のみでの決議は従来認められておらず、非居住取締役はタイに出張する必要がありましたが、改正により、WEB会議等による海外からの参加が可能になりました。

タイ国外から通信を利用して参加する出席者がいる場合、主催者は下記5条件を遵守する必要があります。

・音声または音声と映像による会議記録

・出席者全員のログデータ

・参加者の本人確認(出席確認)を会議開始前に行う

・通常投票と匿名投票の双方を実施可能とする

・書面で議事録を作成する


以下は、前回までの対策を、アップデート後の情報にて再掲しております。


ー税務申告関連ー

ー2019年度個人確定申告(PND.90/91)の期限延長ー

 例年3月末が申告期限のところ、2020年8月31日まで申告期限が延長されます。

(法令化しました)

ー2019年度法人税申告書(PND.50)の申告期限延長ー

2020年4月から8月の間に本来の申告期限を迎える法人について、8月31日まで期限が延長されます。移転価格税制関連の付表(売上高2億バーツ以上の法人が対象)の期限も同様に延長となります。

2019年11月期から2020年3月期の間の決算事業年度が該当します。

(法令化しました)

ー2020年度中間法人税申告書(PND.51)の申告期限延長ー

2020年4月から9月の間に本来の申告期限を迎える法人について、9月30日まで期限が延長されます。

2020年8月期から2021年1月期の間の決算事業年度が該当します。

(法令化しました)

ー月次申告の申告期限延長ー

3月、4月分の源泉税(PND.1、2、3、53、54)、及び国外支払VAT(PP.36)について、ペーパー申告、インターネット申告双方とも5月15日まで申告期限が延長されます。

(法令化しました)

3月、4月分のVAT(PP.30)と特別事業税(PT.40)について、ペーパー申告、インターネット申告双方とも5月23日まで申告期限が延長されます。

(法令化しました)

ー印紙税の申告期限延長ー

4月1日~5月15日の間に申告すべき印紙税について、5月15日まで申告期限が延長されます。

(法令化しました)

ー源泉税率の引下げー

2020年4月~9月の間の一部のサービス料の支払いについて、3%の源泉税率が1.5%へ引下げられます。

2020年10月からは2%に引き下げられますが、支払いをe-Withholding Tax System(その仕組は今後に公表)により行う必要があります。

(法令化しました)

ー月次社会保険関連ー

ー社会保険料率の引下げー

2020年3月から5月の社会保険料につき、以下の対応が取られます。

– 会社負担 :(2020年2月分まで) 5% → (3月~5月) 4%

– 従業員負担:(2020年2月分まで) 5% → (3月~5月) 1%

※ 3月の給与明細で本人負担5%を控除している場合、4月の給与支給時に減額分の調整を行うことになります。

ワークパーミット等申請の都合上、すでに3月分の申告納付を行った場合は、1年以内に還付を行うとのことです。

(4月10日金曜日に法令化しました)

ー社会保険料納付期限延長ー

2020年3月~5月の社会保険料申告期限が3ヶ月延長されます。

– 2020年3月分 申告期限4月15日が7月15日へ

– 2020年4月分 申告期限5月15日が8月15日へ

– 2020年5月分 申告期限6月15日が9月15日へ

※ 申告納付期限が3ヶ月延長されたため、上記3月分給与にて5%で算定していた場合の減額調整による申告納付は、期限内に十分間に合うことになります。

尚、WEBで申告している場合の申告開始は、システム設定変更の都合上、2020年5月以降から受け付けるとのことです。

(4月10日金曜日に法令化しました)

ー休業補償関連ー

ー政府命令による休業ー(上記に変更されました)

政府の命令により臨時的に全部もしくは一部休業の必要がある場合、No work No Payの原則により、従業員への給与の支給は不要となります。国の救済策として、60日を上限として従業員賃金(上限15,000バーツ/月)の補償が検討されています。

申請は雇用主及び従業員双方より以下の社会保険事務所のウェブサイトフォームより行う必要があります。

https://www.sso.go.th/eform_news/sso-covid19-benefit3.html

https://www.sso.go.th/eform_news/sso-covid19-benefit1.html

(タイ語のみ)

(参考)会社の判断による休業

上記に該当しないものの、今回の事態を受けて会社として休業を選択する場合、従業員への給与は全額支給しなければなりませんが、労働者保護法75条の規定により、3営業日前までに従業員及びLabour inspection officialへの通知を行うことで、75%以上の賃金支給とすることができます(ただし、慎重な手続きが必要)。

ーその他税制関連ー

ー中小企業の人件費の追加控除ー

中小企業(SMEs)に該当する法人は、2020年4月から7月の間に支払いをした給与の額(社会保険に加入し、給与額が15,000バーツ/月を超えない者に限る)について、法人税の算定上300%の控除(会計上の対象費用+その2倍)が認められます。

※中小企業(SMEs):年間売上高が5億バーツ以下で、従業員が200名以下の法人

ーVAT還付処理の緊急早期化ー

優良輸出企業(税務当局より承認を受けた法人)に対するVATの緊急的還付措置を行います。WEB申告の場合は15日以内に、所轄税務署に申告書を提出した場合には、45日以内に還付いたします。

ー中小企業の借入利息費用の追加控除ー

ウィルスによる事業への影響を緩和するための、低金利ローンプログラムに加入している中小企業(SMEs)は、二重帳簿をしていないことを要件に、2020年4月1日から同年12月31日までの借入利息費用について、法人税の算定上、150%の控除が認められます。

※中小企業(SMEs):年間売上高が5億バーツ以下で、従業員が200名以下の法人

ー債務解消策の税制特別恩典ー

ウィルスの影響を受けた事業者が、債務の解消策に関連し、諸税及び政府手数料について以下の対策が予定されています。

債務者、債権者の所得税、VAT、特別事業税、印紙税の免除措置

 債権者が、2020年1月1日から2021年12月31日の間で行う不良債権の償却について、損金算入要件を緩和

不動産やコンドミニアムの移転登記や抵当権設定に係る政府手数料を、2%から0.01%へ減額


一部法制化されていないものについては、最終的に変更される可能性がございます。


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

ASAHI Networks (Thailand) Co., Ltd.

朝日ネットワークス(タイランド)株式会社は、日本の税務・会計の専門家集団である朝日税理士法人グループと当社とをネットワークで結び、タイに「これから進出されようとするお客様」、「すでに進出されているお客様」に、高品質の会計・税務・法務のサービスを提供する会計事務所です。 オフィスはBTSサラデーン駅近く(徒歩3分)にあります。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

プロフィール

朝日税理士法人
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朝日税理士法人(東京)、朝日ネットワークス(タイ・インドネシア・フィリピン)は朝日税理士法人グループとして、日本企業の海外進出・海外企業の日本進出をお手伝いしています。 移転価格文書化支援、外国税額控除制度活用に係るコンサルティング、タックスヘイブン対策税制等に係るコンサルティング、海外駐在員に係る税務など各種国際税務サービスを提供しております。


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