日本・ASEANだより

第34回

【フィリピン】移転価格税制に関する申告書の追加ルール発表

朝日税理士法人  執筆

 

関連当事者取引の申告書(BIR1709)の追加ルール(RR No.34-2020)が2020年12月18日付で発表されました。

今回の追加ルールにより、BIR1709および移転価格文書を含む添付書類について一定の基準が明確化され、その基準に該当する場合のみ提出が求められることになりました。

以下、その主な内容についてお伝えします 。

1. BIR1709の提出

BIR1709については以下に該当する場合、提出対象となります。


 a) 大規模納税者

 b) 投資委員会(BOI)やフィリピン経済特区庁(PEZA)等から優遇税制の適用を受けている納税者

 c) 当課税年度および直近2期の課税年度において連続して営業損失を計上している納税者

 d) 上記a~cに該当する者と取引がある関連当事者


上記に該当しない納税者は、財務諸表においてBIR1709に関する規定の対象外である旨を注記にて開示する必要があります。

なお弊社がBIRに確認したところ、駐在員事務所は上記に該当しないため、BIR1709の提出は不要との回答を現時点では得ています。

2. 移転価格文書を含むBIR1709の添付書類の提出

移転価格文書を含むBIR1709の添付書類については以下に該当する場合、提出対象となります。


 a) 年間売上高が1億5千万ペソを超え、かつ、関連当事者取引高が9千万ペソを超える納税者

 b) 課税年度における関連当事者取引高が以下の金額を超える納税者

 ⅰ. 有形資産取引(製品売買等)の取引高6千万ペソ

 ⅱ. 無形資産取引(利息、ロイヤリティ等)の取引高1千5百万ペソ

 c) 直前の課税年度に上記aまたはbに該当し移転価格文書等を提出した納税者


これまでのルールでは、BIR1709と一緒に移転価格文書を含む添付書類も提出することになっていましたが、今回のRR No.34-2020によりBIR1709との同時提出は不要となりました。移転価格文書を含む添付書類については、BIRの書面による開示請求受領後30日以内に提出すればよいと再規定されました。


以上が今回の追加ルールの主な内容となります。もう少し早いタイミングで発表されればなお望ましかったとは思いますが、今回の追加ルールにより移転価格税制の対象が、ある程度合理的な範囲に明確化された点は良かったかと思います。

年末年始の慌ただしい時期ではありますが、今回の追加ルールの条件に該当するのかどうか、お早めにご確認されることをおすすめいたします。

(歳入細則原文はこちら RR No.34-2020


本件に関するご質問・お問合せ等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

なお本文中の意見は筆者の私見であることをお断りいたします。


この記事の提供元:朝日税理士法人グループ

執筆

ASAHI NETWORKS PHILS. INC.

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