第42回
フィリピン中央銀行(BSP)外国為替規制の改正
朝日税理士法人 執筆
フィリピンの外国為替制度は、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)が管轄しています。BSPはビジネスや投資に有利な環境をさらに促進し、フィリピンの経済成長に貢献する目的で外国為替制度改革を推し進めていますが、先日フィリピン外国為替規制の改正に関するBSP通達(BSP Circular No.1124)が発表されました(2021年9月13日発効)。外国為替規制は継続的に改正が行われており、今回の改正は2007年以来13回目の改正となります。
今回の改正は外国為替取引の要件簡素化や手続のオンライン化・電子化による規制緩和を目的としたものであり、主な内容は以下の通りとなります。
1 以下の取引について、BSPの事前承認なしで銀行が外貨を販売することを許可。
*電子商取引の市場参加者によるデジタル決済、電子取引
*外国為替取引における居住者間、居住者と非居住者間の貿易・非貿易取引における
債務債権の相殺
*非貿易取引のうち、海外にいる扶養家族の生活費・医療費等
*エンジニアリング・調達・建設(EPC)契約でカバーされるサービスに伴う商品の輸入
*外国からの借入金がBSPに正式に報告されていることを条件とした登録前の手数料支払
2 銀行以外の政府機関に対して、BSPの事前承認なしのデリバティブ取引実施を許可。
3 貿易取引で得たペソを非居住者のペソ建口座に入金することを許可。
4 外貨借入の承認・登録、対内投資の登録、その他外貨販売に関する申請書類の
BSPへの電子提出、電子署名を許可。
外国為替規制は、フィリピン対外債務の適正水準維持・管理、フィリピン国内における外貨の有効活用等を目的としており、日系企業においても、例えば現地法人への外貨での資本金送金や貸付金送金に際して、BSPからの承認や登録を求められています。
今回の改正(特に上記4)により、BSPからの承認や登録に関する手続がオンライン化・電子化されることは日系企業にとっても歓迎すべきものであると考えられます。
一方で、外国為替規制自体は取引の種類や金額、居住・非居住、公的機関・民間企業の別により細かい内容が定められているため、「そもそも外国為替に関するBSPへの手続が必要な取引なのかどうか」「取引に対してどのような手続・書類が必要なのか」といった点がわかりづらいという声もよく聞かれます。
外国為替規制に関して追加の改正等があればまた追って情報提供いたしますが、現行のBSP関連の手続については、弊社でアドバイスや手続支援をご提供可能ですので、もしご相談事項等ございましたら遠慮なくご連絡ください。
この記事の提供元:朝日税理士法人グループ
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