第35回
【インドネシア】規則改定・減免税制度の延長措置
朝日税理士法人 執筆
昨年実施されたコロナ禍での税金の減免制度に関しまして2021年度も減免制度が継続される趣旨で2021年2月1日付財務大臣令(No.9/PMK03/2021”PMK-3”)が公布されましたのでお知らせします。
PMK-3の内容は昨年のものと大幅な変更はありませんが、2021年度も継続して減免税制度の適用を受ける際は改めて申請が必要となります。しかしながら、本日時点で適用を受けるためのオンラインの申請システム(DJPオンライン)についてはシステム上手続きができない状況であることにご留意ください。
PMK-3の主なポイントを以下にお伝えします。
PPH21(従業員給与にかかる源泉徴収税)の免除
特定の事業分野および輸入便宜(KITE等)を得ている会社に勤務する年間所得2億ルピア以下の従業員はPPH21が100%免除されます。
【適用可能企業】
適用企業は2020年度より変更ありません。
(特定の事業分野1,189業種についてはPMK-3の付表Lampiran Aをご確認下さい。その他輸入便宜KITEを受けている会社、保税地区に所在する会社が適用を受けられます)
【免除対象期間】
2021年1月から6月までの6ヶ月間(免除申請を行った月から有効)
(弊社注記:免除されたPP21は、その全額を従業員へ現金で支給することとされています。そのため、PPH21を会社負担(グロスアップ処理)している場合でも免除されたPPH21を従業員の給与に上乗せして支給することが必要となります)
【適用を受けるための手続】
・ PPH21の免除申請は原則租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。
・ 申請方法は2020年度と同様です。2020年度にPPH21免税の恩典を受けていた場合でも2021年度に恩典を受ける場合は改めて申請が必要となります。
・ PPH21の免除を受けた後にオンラインによる実施報告書提出が必要となります。
・ 実施報告書の報告期限は免除を実施した翌月20日となります。但し、2021年1月度分については2021年2月28日まで報告期限が延長されています。
PPH22(輸入等に関する前払法人税)の輸入時の不徴収
特定の事業分野および輸入便宜(KITE等)を得ている会社のPPH22について、輸入時に免除を受けることができます。
【適用可能企業】
適用企業数は2020年度が721業種でしたが若干増えて730業種となりました(PMK-3の付表Lampiran Jをご確認ください)、その他輸入便宜KITEを受けている会社、保税地区に所在する会社が適用を受けられます。
【免除対象期間】
2021年1月から6月までの6ヶ月間 (免除は免除申請を行った月から有効)
【適用を受けるための手続】
・ PPH22の免除申請は原則租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。
・ 申請方法は2020年度と同様です。2020年度にPPH22の免税の恩典を受けていた場合でも2021年度に恩典を受ける場合は改めて申請が必要となります。
・ PPH22の免除を受けた後にオンラインによる実施報告書提出が必要となります。
・ 実施報告書の報告期限は免除を実施した翌月20日となります。
PPH25(法人税予納)の納税額の軽減
特定の事業分野および輸入便宜(KITE等)を得ている会社に対してPPH25の要納税額の50%が軽減されます。
【適用可能企業】
適用企業数は2020年度が1,013業種でしたが若干増えて1,018業種となりました(PMK-3の付表Lampiran Oをご確認ください)、その他輸入便宜KITEを受けている会社、保税地区に所在する会社が適用を受けられます。
【軽減対象期間】
・ 2021年1月から6月までの6ヶ月間(軽減は申請を行った月から有効)
【適用を受けるための手続】
・ PPH25の軽減申請は原則租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。
・ 申請方法は2020年度と同様です。2020年度にPPH25の軽減の恩典を受けていた場合でも2021年度に恩典を受ける場合は改めて申請が必要となります。
・ PPH25の軽減を受けた後にオンラインによる実施報告書提出が必要となります。
・ 実施報告書の報告期限は軽減を実施した翌月20日となります。但し、2021年1月度分については例外的に2021年2月28日まで報告期限が延長されています。
特定中小企業の売上にかかるファイナルタックスの免除
前年度の売上高が48億ルピアを超えない企業等は、原則売上高に対して0.5%の法人税がファイナルタックス(PPH4-2)として課されていますが、特定の要件のもとで当該課税の免除を受けることができます。
【適用可能企業】
適用企業は2020年度より概ね変更ありません。対象企業は以下の通りです。
・ 従来から存続している会社で前年度の売上高が48億ルピアを超えない会社
(弊社注記:2018年度から2020年度までの3年間、特定中小企業として取り扱われた企業は2021年度より特定中小企業の売上にかかるファイナルタックスの対象外 (政令No23/2018、財務大臣規則No99/PMK03/2018)となりますので本規定の適用がないことにご留意ください)
・ 2021年度に新規設立した会社
(弊社注記:上記のうち事前にノーマルタックスの選択申請を行っていない会社に限られる。)
【免除対象期間】
・ 2021年1月から6月までの6ヶ月間(免除申請を行った月から有効)
【適用を受けるための手続】
・ 免除を受けるためには事前にSK(免税証明)を入手する必要があります。
・ ファイナルタックスの免除申請は原則租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。
・ 申請方法は2020年度と同様です。2020年度にファイナルタックスの免除恩典を受けていた場合でも2021年度に恩典を受ける場合は改めて申請が必要となります。
・ ファイナルタックスの免除を受けた後にオンラインによる実施報告書提出が必要となります。
・ 実施報告書の報告期限は免除を実施した翌月20日となります。
特定の建設サービス売上にかかるファイナルタックスの免除
建設業では、その事業規模やサービスの形態に応じて売上に対して2%~6%の法人税がファイナルタックス(PPH4-2)として課されています。
今回の規定では、このうち農業用水などの灌漑関連施設建設など極めて限られた建設サービスについてファイナルタックスの免除を受けることができます。
【適用可能企業】
2020年度より変更ありません。対象企業は以下の通りです。
・ 建設業者のうち、農業用水(灌漑)設備の修繕、改良等に関する建設サービス売上についてはファイナルタックスが免除されます。
(弊社注記: 免除対象となるサービスが極めて限定的であることから、この税務恩典を受ける企業は少数に留まるものと思われます)
【免税対象期間】
・ 2021年1月から6月までの6ヶ月間(免除は申請を行った月から有効)
【適用を受けるための手続】
・ 免除申請は原則租税総局www.pajak.go.idのオンラインから申請します。
・ 申請方法は2020年度と同様です。2020年度に免除の恩典を受けていた場合でも2021年度に当該恩典を受ける場合は改めて申請が必要となります。
・ 免除を受けた後にオンラインによる実施報告書提出が必要となります。
・ 実施報告書の報告期限は軽減を実施した翌月20日となります。
VAT暫定還付手続きの迅速化
現行制度上VATの還付は、10億ルピアを上限として暫定還付申請が認められています。暫定還付を申請した場合、原則的には税務調査を経ず簡易的なチェックのみで暫定的に還付を受けることが可能ですが、本規定の適用を受けた企業はVATの暫定還付を50億ルピアを上限として受けることが可能です。
【適用可能企業】
適用企業数は2020年度と変わらず725業種(PMK-3の付表Lampiran Rをご確認ください)で、輸入便宜KITEを受けている会社または保税地区に所在する会社が適用を受けられます。
(注記:なお、この規定の適用要件として725業種に属する企業が全て受けられるものではなく、725業種に属する企業でかつ輸入便宜等を受けている企業のみ適用を受けられるという解釈もありますので適用にあたっては再度、所轄税務署などへの確認をしていただくことをお勧めします)
【対象期間】
・2021年1月度から2021年6月度のVAT還付申告
以上の情報は執筆時点(2021年2月4日時点)の最新の情報に基づいて作成していますが、適時変更される可能性がありますので、実際の税務対応については個別にご相談ください。
以 上
この記事の提供元:朝日税理士法人グループ
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