第43回
【PHILIPPINES】フィリピンでの商標登録
朝日税理士法人 執筆
フィリピンにおいてビジネスを行うにあたり、多くの企業に影響があるにも関わらず見落としがちなのが、商標の登録です。商標とは、自社の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標章)で、文字・記号・ロゴ等が該当します。
本記事では、フィリピンにおける商標登録の概要と、弊社が提供しているサービスについてご紹介します。
商標登録のメリット
商標登録を行うことにより、商標権の所有者には登録商標の排他的権利が与えられます。この排他的権利によって、第三者による商標の無断使用を防止し、登録商標を独占的に使用することが可能となります。また自社による商標使用が、意図せず第三者の商標権を侵害してしまうリスクを下げる効果もあります。
商標登録は義務ではありませんが、フィリピンにおいて円滑にビジネスを行うためにも、企業及びブランドの象徴となり得る商標は登録することを推奨致します。
フィリピンにおける商標登録の方法
フィリピンで商標登録を行うには、以下2つの方法が存在します。
国内出願
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)を通じ、フィリピン単独で商標登録(Trademark Registration)を国内出願する方法です。次にご紹介するマドプロとは異なり、他国での出願・登録状況による影響を受けることなく、フィリピン単独で機動的に出願・登録を行うことが可能です。
マドリッド協定議定書(マドプロ)に基づく国際出願
日本の特許庁及びWIPO国際事務局を通じ、マドプロ加盟国に一括で国際出願する方法です。指定した国のみが国際出願の対象となるため、出願時にフィリピンを指定することでフィリピンへの商標登録の出願が可能になります。ただし基礎となる出願・登録が何らかの理由で無効になった場合は、フィリピンを含むすべての国での国際出願・登録が取り消されます。詳細は日本の特許庁の活用ガイドをご参照ください。
商標登録の流れ
本項では、フィリピン国内で出願する方法について特化し、商標登録の基本的な流れをご紹介します。IPOPHLによる審査や異議申立の結果によっては、追加的なプロセスが発生し得ることにはご留意ください。なお、商標登録の出願人がフィリピン非居住者の場合、自ら出願をすることができません。フィリピンに居住する代理人を選定し、代理人を通じて出願する必要があります(出願人がフィリピン居住者の場合は、代理人の選任は任意です)。
1) 事前調査:同一・類似商標の有無をデータベース照会し、出願可否を事前確認します。
2) 出願書類作成:IPOPHLが定める出願要件に沿って書類を準備します。
3) 出願:IPOPHLの申請プラットフォームを通じて出願します。
4) 審査:IPOPHLにより形式審査・実体審査が行われます。
5) 公告:上記審査を通過すると公告が行われ、利害関係者の異議申立の対象となります。
6) 登録証書取得:異議申立がなければ、IPOPHLより商標登録証書が発行されます。
登録後の維持要件
無事に商標登録が完了した場合、その商標権は登録完了から10年間有効であり、更新手続きを10年ごとに行うことで延長することが可能です。
ただし、登録商標の維持にあたっては、商標出願から起算して3年以内、商標登録から起算して5年を経過した日から1年以内に、実際に使用していることを宣誓する使用宣誓書(DAU)及び証拠の提出が要件とされています。定められた期間内のDAU提出を怠った場合、IPOPHLにより登録商標が抹消されることになります。そのため、商標登録を行った企業においては、このDAU要件を注視し適切に対応することが求められます。
ここまで、フィリピンで商標を適切に出願し、将来に渡って効果的な商標権を取得するための概要をお伝えしました。なお、実際に手続きを進めるにあたっては、IPOPHLとのやり取りが多く発生し、様々な対応を要求されることが予想されます。さらに手続きやルールが変更される可能性もあること、あらかじめご了承ください。
この記事の提供元:朝日税理士法人グループ
執筆
朝日ネットワークスフィリピンは、フィリピンにこれから進出されるクライアントと、すでに進出されているクライアントに、会計・税務・会社法務の専門知識に基づく高品質なサービスを提供することを理念とする事務所です。
朝日ネットワークスフィリピンでは、フィリピンにおける商標登録の出願から登録証書取得までのサポート、さらには登録完了後の使用宣誓書や更新に係るサポートを提供しております。
外国人が多数利用するショッピングモール、グリーンベルトから徒歩3分の位置にございます。どうぞお気軽にお立ち寄り頂ければ幸いです。
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