第39回
非居住者または外国法人の源泉所得税等の納税証明書
朝日税理士法人 執筆
非居住者または外国法人(以下「非居住者等」という。)に対して、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」という。)を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収をした源泉所得税等は、原則として、徴収した日の属する月の翌月10日までに指定の所得税徴収高計算書(以下「納付書」という。)を添えて最寄りの金融機関、所轄税務署の窓口又はe‐Taxで納付することになります。
なお、非居住者等は、その者の居住地国において日本で稼得した所得について確定申告するため、日本の源泉所得税等の納税証明書が必要となることがあります。
一般的に、日本に恒久的施設を有しない非居住者等は、通常、日本では源泉徴収による分離課税により課税関係が終了しますが、非居住者等の居住地国においても、同じ所得について課税を受けることになり、結果として、日本と居住地国との間で二重課税が生じてしまいます。この二重課税の調整を図るためには、その者の居住地国の確定申告において外国税額控除等を行うことになりますが、外国税額控除の適用を受けるにあたり、日本で源泉所得税等を納付したことを証する書類として納税証明書が必要になるわけです。
非居住者等が源泉所得税等の納税証明書を取得する場合、非居住者は、「源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税証明願」を作成の上、日本の源泉徴収義務者を経由して、その源泉徴収義務者の所轄税務署長あてに提出することになります。ただし、非居住者等が自ら納税証明願を作成して提出するのは困難なため、通常、日本の源泉徴収義務者が非居住者等の代わりにその手続きを行います。
納税証明願には、次のような書類の添付をするとスムーズに手続きが完了すると考えられます。
① 源泉所得税等を納付した際の所得税徴収高計算書の写し
② 所得税徴収高計算書の納付税額の内訳書や送金計算書などの送金時の書類
③ 租税条約に関する届出書の写し(租税条約による軽減税率の適用を受けている場合)
なお、納税証明願を所轄税務署長あてに提出してから納税証明書が発行されるまである程度の期間を要するため、非居住者等から依頼があった場合にすぐ対応できるよう、必要書類をあらかじめ準備しておくことも良いと思われます。
この記事の提供元:朝日税理士法人グループ
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