第16回
高成長に向けた変革、個々は自分の身を守れ?
イノベーションズアイ編集局 経済ジャーナリストA
日本企業にも問題はある。4割以上の企業は、「技術革新により必要となるスキル」と「現在の従業員のスキル」との間のギャップを認識しているという。半数近くのITエンジニアが「技術やスキルの陳腐化に不安」を抱えているというデータもある。それでも「企業は人に投資せず、個人も学ばない」というのが実態だという。これが日本企業の競争力低下の一員であり、かつ、前述した海外の高度人材から選ばれない国になっている理由の1つでもある。
そんなこともあり、経産省は旧来の日本型雇用システムからの転換を求めている。向かうは「人を大切にする企業経営」や「労働移動が円滑に行われる社会」だ。と同時に「好きなことに夢中になれる教育への転換」も必要だとしている。
これらは企業や学校が単独でできるものではないし、実際に進めるとなるとある程度の時間も要する。経産省の見立てが完全に正しいということをいうつもりはないが、雇用や教育の形を変えることには異論も少ないのではないだろうか。どうかえるのかを今すぐ、具体的に議論すべきではある。そうしなければ、2030年、2050年の日本はかなり困ったことになっているはずだ。
ただ、この経産省のレポートからは難しさもうかがえる。たとえば、今後大きく減らすことができる事務や販売の従事者が、増える必要のある通信・情報関連の技術者に転職するといったことは、現実的にはほぼ不可能だ。じゃあどうするのか。そうした変化からどう身を守るのかは個々人に委ねられているということだ。
経済ジャーナリストA
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- 第16回 高成長に向けた変革、個々は自分の身を守れ?
- 第15回 今こそ求められる〝稲盛さんの教え〟
- 第14回 ますます広がっているかも知れない情報格差
- 第13回 世界はアフターコロナに移行 日本はどうする
- 第12回 事業再構築補助金が創出する市場や需要
- 第11回 複雑化する経済社会、“情報は疑う”を基本に
- 第10回 求められる本質を読み取るリテラシー
- 第9回 国内回帰の機運高める世界の分断
- 第8回 DXより前に求められる自らの将来像
- 第7回 “ロシア制裁”は原油高との闘い
- 第6回 雇用の喪失は心配だが、人出不足も心配
- 第5回 わからないからこそ挑戦! でも知らないはダメ
- 第4回 ハラスメントの深刻化と信頼関係の希薄化
- 第3回 ソーシャルディスタンスの定着って…
- 第2回 分化を分裂や分断にしないための想像力
- 第1回 デジタルで変わるコミュニケーションの功罪