コロナ後の世界

第38回

AIのカスタマイズで歪むネット情報

イノベーションズアイ編集局  経済ジャーナリストA

 

自分の行動からも、新型コロナウイルス禍はデジタル化を加速したと思う。

以前からデジタル機器を使っていろいろなことをしてきた。が、コロナ禍では外出制限が続いたこともあり、買い物や情報収集のデジタル化が進んだ。そうした習慣のようなものは、いまもなかなか抜けない。

もちろん、リアル店舗での買い物もある程度は戻った。モノを選んで買う時はリアル店舗の利用が多い。半面で、かつて買ったことがあるモノや見なくても分かっているモノはネット通販のまま。まだ都市部に住んでいるとこんなもんだが、リアル店舗まで自動車で1時間もかかる郊外だったら、もう元には戻らないかもしれない。自分だったらそうなりそうだ。

だた、ネット通販の買い物体験としての満足度は低い。ネット上で選んで購入した際は特にそう感じる。期待はずれ感があるのだろうか?

思ったよりも安く買えたというだけで、はじめから可もなく不可もない買い物ばかりだからか?

確実にいえるのは、そもそもの情報が少ないという点だ。実際に見て選ぶのに比べれば当然のことだが、このギャップはなかなか埋まらない。寸法は表示されているが、実際のボリューム感はなかなか想像できないし、色も微妙に違うことが多い。質感とかになると、もうネットではまったく分からない。

それどころではない。多くの場合、写真が現物よりもよく写っている。まあそんなもんなのだが、リアル店舗での買い物だとこういうことがない。情報量の多さがウリのネットだか、こういう情報についてはまだまだだ。

一方で、情報収集についてはネットの活用が圧倒的に便利だ。が、みんなが同じテーマに過剰反応するからか、検索エンジンの人工知能が日々成長しているためか、炎上の際などでは皮肉にも狙った情報になかなかたどりつかない。

先日「〇〇町で町議がセクハラに及び議会で謝罪した」というニュースをテレビでみたのだが、その際に〇〇町が気になった。どこにあり、どんなところなのか。早速スマホで調べたが、これがなんとも出てこない。というか、山のように出てくるのは、みなセクハラ関連のニュース、論評、勝手な意見などのオンパレードなのだ。〇〇町で検索するとそればかりで、公式サイトやウキペディアのようなものを探すのに苦労した。

みんながこのニュース以外の〇〇町に関することや問題の町議を調べれば検索結果も多様化するものなのだろうか。そのあたりはわからないが、この時はもう〇〇町のセクハラ…しか出てこない。みんなとにかくセクハラが気になるらしい。まあ、ビデオもネットの普及も原動力は〝エロ、グロ、ナンセンス〟だけに、そんなもんではある。

ネットはまだまだ過渡期だな、と感じる。かといって、使いやすくするためにいろいろと情報が収集され、操作されるのは困りもんだ。人為的な、あるいは意図のある操作ではなくても、提供される個々の情報やそれらの選択はいろいろと歪んでいる。

時代はそちらの方向に突き進んでおり、ネット情報から〝本当はどうなのか〟を確認するのはますます難しくなりそうだ。これはもうリテラシー云々ではない。ネット情報は、既存メディアも巻き込みながら拡大を続けている。既存メディア発の情報もネットで得る時代になった。しかし、ネット上に散乱する情報の中では、既存メディア発のものはたんぱくだったりする。裏をとったり確認しながら発信するだけに、仕方のない部分もある。ところが、ネットにはもっといろいろ盛り込まれた情報もたくさんある。そしてそれらは検索の上位にも顏を出す。どうしたものか。毎日のようにそう思う。


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