知恵の経営

第102回

女性活用、まず社風づくり 

アタックスグループ 2017年2月1日
 
 今回は特殊鋼、ステンレス、シリコロイの素材販売、加工販売を行う天彦(てんひこ)産業(大阪市住之江区)を取り上げる。男性社会の典型といわれる鉄鋼業界で女性社員が数多く活躍する異色の現場として高い注目が集まる。女性活躍推進への積極的取り組みが高く評価され、2008年には「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみんマーク」の取得。さらに経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選2013」にも選ばれた。

 最初から女性を積極的に活用していたわけではない。国内産業空洞化を見越して海外展開を検討するなかで、語学力の堪能な人材獲得を試みたが、中小企業では採用が難しく、なかなか思うように進まなかった。そこで就職が難しい状況にあった大卒の女性にターゲットを変えたことがきっかけだった。

 01年に国立大学を卒業した語学力堪能な女性社員を採用したのを手始めに、現在では国内勤務の40人中11人まで女性が増えている。その多くが語学力堪能で大きな戦力となり、07年にはウェブ営業チーム「TWS(天彦・ウエブ・セールス)」を発足させ、新たにアジアや中東圏の顧客も次々と開拓していった。その結果、売り上げは倍増した。女性社員は勤労意欲が向上し、平均勤続年数も飛躍的に伸びている。

 樋口友夫社長は「男性だけの営業では、どうしても足で稼ぐと考えがちだったが、女性は顧客履歴管理をきちんとしたり、お客さまのかゆいところに手が届くようなサービスができたりするため、お客さまが次々と当社のファンになった」とその効果を振り返る。

 では男性社会の典型といわれる業界で、いかにして女性に活躍の場を与えることができたのか。優秀な女性を採用すれば、すべて同社のようになるかといえば、決してそうではない。

 同社では女性の能力をフル活用できるよう仕事とプライベートの両立を支援するため、まず社内の風土づくりからはじめた。そこに必要に応じてフレックスタイムや在宅勤務などの両立支援制度を導入することで、環境を整備していった。

 樋口社長は「制度ありきは危険だ。まずは社内に女性活用の風土を作る。そして社員のニーズと業務の状況をみながら、最も効率的に働けるようにするための制度を、その都度検討し、個別対応で導入する。そうすることで、スムーズな運用が可能となった。そこに生まれる“お互いさま思想”が風土のベースになる」と話してくれた。

 相対的に男性よりも活用度が低い女性の活躍推進が、今後ますます求められる。同社の例は、制度ありきで女性の活躍推進がうまく進まない企業が何をすべきかを示してくれている。
<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介
2017年2月1日フジサンケイビジネスアイ

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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