知恵の経営

第13回

人口減少時代での企業展望

アタックスグループ 2015年4月1日
 
 所属する経済団体のセミナーで2人のマクロ経済学者から日本経済の長期的展望を聞いた。テーマは「人口減少社会を考える」と「人口オーナス下の経済・地域」。それによると人口減少の要因は20~39歳の女性の減少と地方から大都市圏、特に東京圏への若者流出の2点。2040年には896市区町村が「消滅可能性都市」に該当し、うち523市町村で人口が1万人未満となって消滅の可能性はさらに高まる。このため少子化と東京一極集中の対策を同時に行う必要がある-という。

 長期安定が見えてきた安倍晋三政権は「アベノミクス」で遅れていた成長戦略に腰を据えて取り組むことが予想される。その一つが地方に安定した雇用を創出する「地方創生」だ。東京都の合計特殊出生率が1.13と極端に低いことを考えると、少子化と東京一極集中の対策にもなると予測される。

 人口問題で経済環境は大変厳しくなるが、企業は存続しなければならない。一般的には人口が減少し、消費が低迷する中で供給過剰となり、企業間の価格競争が激化する。この流れに押し流されずに自社の顧客(市場)を創造する必要がある。

 顧客を創造するには、顧客が求めるニーズを追求するマーケティング活動と、顧客が喜んでお金を払いたくなるような商品とサービスを提供するイノベーション活動が重要になる。

 第1のマーケティング活動とは、顧客が抱くニーズとシーズを探すこと。顕在化されたニーズのみならず、潜在的なニーズへの探求が必要で、そのためには大きな時代の変化から日常生活の変化まで絶えず注目し、ニーズを探すことである。具体的には「不」「快」「安」といったキーワードでニーズを発見する。「不」とは不便、不満、不安といったことで「あったらいいなをカタチにする」をキャッチフレーズとする小林製薬の商品開発がその例だ。ちなみに「快」は快適、「安」は安全、安心、安価を表す。

 第2のイノベーション活動は単なる技術革新ではなく、新市場の開拓、新しい販売組織の実現といったより広い概念で捉えることが重要だ。クロネコヤマトやアスクルなどは新市場開拓の例だ。海外にも進出しているヤクルトレディーによる訪問販売は新しい販売組織の例といえる。また、ドン・キホーテも“深夜産業”を開拓した立派なイノベーターだ。

 中小企業では電器店を営む「でんかのヤマグチ」(東京都町田市)がある。「でんかのヤマグチはトンデいきます!!」をモットーに、大手家電店とは競争せず、客は比較的裕福な高齢者世帯。電球1個から取り換えに訪問する“町の便利な電器店”だ。客はいつでも助けてもらえることに価値を認める。

 人口構造の変化ほど明白なものはない。予測も容易でリードタイムも明らかだ。人口減少社会、少子高齢化時代に本格的に突入した今こそ、中小企業経営者は生き残り策を真剣に考えなければならない。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント 丸山弘昭

2015年4月1日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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