知恵の経営

第50回

「想いを伝える」会葬礼状

アタックスグループ 2015年12月24日
 

 今回は11月25、26日にかけて、この連載の筆者でもある法政大学大学院の坂本光司教授とアタックスが中心となって立ち上げた異業種交流会「神田経営者クラブ」の特別研究視察会で訪問したマコセエージェンシー(鹿児島市)を紹介する。

 「想いを伝える」を経営理念に1988年に設立。鹿児島の本社のほか、東京、大阪、名古屋、熊本に事務所を構える、従業員130人弱の企業。主な事業として総合広告代理店、オリジナル会葬礼状の作成・会葬パネルの作成などを行っている。

 メーンの事業はあくまでも総合広告代理業だが、オリジナル会葬礼状の請負件数で日本一(調査研究会社調べ)となっている。

 きっかけは、これまでの会葬礼状がほとんど形式的な文章だったことに、五十嵐芳明社長が常に疑問を抱いていたことだ。「全ての故人が同じ文面の礼状で良いのか」「これで本当に故人が思い出として心に残るのか」。会葬者の多くが最寄り駅のごみ箱に礼状を捨てていく光景も数多く目にしていた。

 五十嵐社長は「こうした現状を変えたい。捨てられる礼状より、いつまでも心に残るたった一つの礼状をつくりたい」「本当の会葬礼状は、故人の生前の人柄や故人と家族のかけがえのない思い出、故人への思いといった『心を伝える』『想いを伝える』ものであるべきだ」と、世界に一つしかない、会葬礼状づくりを2000年に始めている。

 当時、オリジナル会葬礼状を作成する業者はなかった上に、五十嵐社長がもともと広告代理店に勤務していてコピーライターやデザイナーらの人財に恵まれ、社内のITも優れた環境にあったことも新事業を始める上で大きなメリットとなった。

 まず試しに、自分の母親の会葬礼状をつくってみたところ、社内の人財・設備だけで作成できた。その礼状を親戚・家族や葬儀業者などに見せて、意見を求めてみると、葬儀業者からは「こういうものを待っていた。欲しかった」と、高い評価を受け、本格的に事業をスタートさせていった。

 現在は、全国1200社の葬儀業者がマコセのオリジナル会葬礼状を採用し、業者からの問い合わせが後を絶たないという。その結果、現在の年間依頼件数は7万~8万件、1日当たりの作成件数は約200件までになっている。

 間違いなくマコセのオリジナルの会葬礼状は、五十嵐社長が願った、捨てられない、葬儀の中での重要な役割を果たす存在になったのである。

<執筆>アタックス研究員・坂本洋介 

2015年12月23日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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