知恵の経営

第9回

潜在ニーズ探り解決策提案

アタックスグループ 2015年3月4日
 

 東京商工会議所が10年前に始めた「勇気ある経営大賞」の第1回受賞企業を一冊の本「変える勇気が会社を強くする」(中経出版)にまとめた際に取り上げた、ダイワハイテックス(東京都板橋区)の大石孝一社長と先月、6年ぶりに面談した。同社は1978年、大石社長が28歳のときに脱サラして夫婦で起業。「どこもやっていない包装機械を販売したい」と創業2年目にニーズを探る意味で包装機械展に出展。その場で「コミック本を簡単に包装できる機械が欲しい」という書店オーナーの一言から、コミック本包装機「コミックシュリンカー」を完成させた。

 大石社長は無料貸し出しサービスをきっかけに次々と注文をとり、販売台数をぐんぐん伸ばし、シェア90%と圧倒的なオンリーワン企業となった。成功の理由を「書店繁盛支援企業、徹底した顧客第一主義にある」と言い切る。

 具体的には、(1)書店が超多忙な新店オープン時に社員数人が出張して機械操作を教え、包装作業も手伝う「猫の手キャンペーン」(2)1年間の保証期間が切れる1カ月前に「不備な点があれば保証期間内に修理してください」とはがきを送る親切心(3)故障の連絡が入るとまず宅配便で代替品を送り届け故障品を修理する-などだ。

 6年前、大石社長は書店業界向けの「BOOK事業」以外に柱を立てたいと語った。この間、取り組んできた市場開拓、商品開発は「なるほど」と思う見事なものだ。コンビニエンスストア向けの雑誌テープ貼り機「テープ・ショット」は、卓上型で場所をとらない上に使用方法が極めてシンプル。板橋区産業振興公社の「板橋製品技術大賞」に輝き、全国のコンビニに導入されている。図書館向け書籍コーティング機「エコーテイ」は、誰でも簡単にフィルム貼りを行える。剥離紙がないロールタイプでごみを出さない点が評価され同技術大賞「環境賞」を受けた。また、バブルシート(緩衝剤)自動包装機では急伸するネット通販業者に一梱包(こんぽう)ごとの課金システムを提案し、製品販売だけでなく「自動包装サービス」を提供する戦略をとる。顧客の評価は高く、大石社長は5年後にBOOK事業の売上高を抜くと予想する。

 同社の着眼点はどこにあるのか。1点目はBOOK事業の延長線上にある製品。コンビニ、図書館に「あったらいいな」という本の扱い方の潜在ニーズを掘り起こした。

 2点目はバブルシート自動包装機にみられる本を包装する技術のネット通販業界への応用。後発だが、大石社長はBOOK事業で蓄積した小型化技術や顧客の立場に立った発想のサービス体制を差別化の武器として、十分勝算ありと踏んでいる。

 人口減少、需要減退の時代だが知恵を絞れば需要はまだまだ存在する。潜在ニーズを探り、解決策を提案する事業展開から学ぶべき点は多い。


<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2015年3月4日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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