知恵の経営

第33回

3K・5K現場変えた改革

アタックスグループ 2015年8月19日
 

 松江市に長岡塗装店という建物や塀などへの塗装を専門とする中小企業がある。塗装業界は一般的に「3K」(きつい、汚い、危険)とか「5K」(3Kと臭い、暗い)職場などといわれ、若者や女性の入職不足や、高い、さらには従業員の高齢化、その結果としての従業員のモチベーション低下に悩んでいる企業が多い。

 こうした業界にあって、見事に問題をクリアし、成長発展している企業が、今回取り上げた長岡塗装店である。

 20年ほど前までは、同社もご多分に漏れず、多くの問題を抱えたごくごく普通の塗装業だった。しかし、事業承継した娘夫婦(娘婿が社長)は「このままではじり貧となりやがてつぶれる…」と危機意識を持ち、経営改革に取り組んでいった。

 2人が強く問題意識を持ったのは、2つのことだった。

 1つ目は、若者や女性の入職不足や離職者の増大は外部の問題ではなく自社が若者や女性にとって、働く場所として、魅力がないからだ。

 2つ目は、なぜ体中にノウハウが詰まった、まだ働ける、働きたいと思っている高齢者を定年だからという理由で離職させてしまっているのか…。

 2人は全社員と議論を重ね、若者や女性、高齢者が働きやすい・働きたくなる職場づくりを、できるものから順に、次から次に実行していった。ちなみに新たに会社が作ったり、改善した福利厚生制度は20種類を超す。その一部を紹介する。

 (1)30分単位の「子の看護休暇」(有給休暇とは別)取得(2)本人または配偶者の出産祝い金(10万円)支給(3)認可・無認可を問わず保育料の3分の1を補助(4)育児や看護のため始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ(5)社員の家族の介護サービス利用費用の3分の1を補助(6)70歳までの継続雇用制度(7)リラクゼーションルームと機器の整備(8)技能士などの国家資格取得の経費の補助(9)全社員の講演会・セミナーなどへの参加奨励-などである。

 この結果、20年たった今、従業員は減るどころか2倍に増えている。このほか離職率はかつての30%以上が実質ゼロに、女性社員比率は14%が50%にアップ、子供がいる社員がゼロが3分の1に増え、さらには全社員が取得した国家資格は23件から66件にまで高まっている。

 こうしてみると、企業問題の本質は業種や規模ではなく、人財、とりわけ経営の考え方・進め方こそが、本質問題ということがわかる。

<執筆>
法政大学大学院政策創造研究科教授、アタックスグループ顧問・坂本光司
2015年8月19日 「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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