知恵の経営

第74回

個人商店の包装資材を企画

アタックスグループ 2016年6月15日
 
独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を持続している中堅中小企業を紹介している。今回は「幸せ制作会社」を社是に包装資材の企画制作販売や提案型売り場づくりを支援するヘッズ(大阪市阿倍野区)の池クジラぶりを見ていきたい。

 暮松邦一社長がファンシー雑貨店の店長だったある日、女の子が友達に贈る文房具を買いにきた。翌日、母親へのエプロン、その数日後、祖母にあげるタオルを買った。ところが毎回、同じ包装紙で包んでしまった。「贈る相手に合わせて違う包装紙で包めばよかった」という思いが心に引っかかり、自分のイメージに合う包装紙を探したが見つからなかった。「ならば自分で創るか」と1985年12月、業務用資材の企画・制作会社を創業した。

 包装資材業界は2つに分類できる。一つは、それなりの規模の企業を対象にそれぞれの名入り袋を扱う。もう一つが個人商店のように自社ブランド名を入れない袋を扱う。後者は市場の1割ほどにすぎないが、暮松社長は大手が対応できない個人商店を対象とする分野で事業をスタートした。

 個人商店には包装資材は重要だ。多くの種類から自分の商品にマッチした魅力的な包装を自由に選びたい。売れ行きが包装で決まる場合もある。誰にでも簡単に奇麗に素早くラッピングでき、可能な限り小ロットで買いたい-。そこでこうした顧客ニーズを全て拾うことにした。
 個人商店は高いものは買わない。そこで安く売っても高収益を上げるには問屋を抜くしかないと通販事業に乗り出した。さらに顧客の心に響く提案をするには、特定分野に集中特化した方がいいとターゲットを洋菓子店、生花店、雑貨店に絞り込んだ。その結果、全国に3万4000社の顧客を持つまでに成長、アイテム数は約4500に増えた。

 次に打った手は、売り場づくり支援(繁盛支援業)だ。顧客の売り上げが上がらなければ本物ではないと考えた暮松社長は、商品企画段階から来店客にいかにアピールするか、どのようにラッピングすればいいか、商品カタログなどを通じて、店舗ディスプレーまで店頭での展開シーンを提案することで売り場づくりを支援するようになった。カタログは毎月、テーマごと分野ごとに作成する。同じ包装紙が当たり前だったラッピング資材を「販促資材」にまで進化させた。

 「カンタン・キレイ・便利」をコンセプトに、単なる包装資材の企画販売に留まらず、提案型売り場づくりという、誰も手を付けなかった、小さな池の圧倒的なクジラになっている。
<執筆>アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2016年6月15日 フジサンケイビジネスアイ掲載



 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

コラム 知恵の経営

同じカテゴリのコラム

コラム検索