知恵の経営

第82回

葬祭業を普通のサービス業に

アタックスグループ 2016年8月24日
 
独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅・中小企業を紹介している。今回は仙台市とその周辺で、20カ所の葬祭会館を展開する、清月記(仙台市宮城野区)の“池クジラ”ぶりを見ていきたい。

 同社は1985年3月、菅原裕典社長が仙台市に開業した。当時、葬儀は「死」にまつわる仕事というだけで世間から偏った見方をされていた。

 しかし、菅原社長は家族を亡くした遺族から感謝される「人の最期にかかわる高貴な仕事」と確信し、創業を決意した。

 地域最後発のスタートだったが、菅原社長は当時の葬儀社の問題点に着目した。

 1つは古くからの業界常識を覆し、葬祭業を普通のサービス業と捉えたこと。サービス業としての葬儀という、強い思いを持って事業計画を作り、銀行を駆け回って資金を調達して開業にこぎ着けた。通夜式に始まり「ここまで丁寧にやってくれる葬儀社は他にない」と言わせるまでの評判を取った。

 2つ目は葬儀費用の見える化を実施したこと。業界は葬儀の顧客を一見客と捉えていたが、菅原社長は一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌と、しっかりアフターフォローをすることで、その家庭をリピーターにでき、また、1世帯につき平均17年に1回は葬儀があると考えた。

 見積書を作成する明朗会計をスタートさせ、遺族が自分自身で葬儀見積もりをシミュレーションできる仕組みも用意した。この結果、葬儀は「会計が不明朗」という常識を覆した。多くの顧客がファンになったのは当然だった。
 さらに、当時は誰もやっていなかった営業活動も手掛けた。菅原社長は新聞の訃報広告先にアプローチし、年賀欠礼ハガキを受注するアイデアを思いつき、営業を始めた。地域の住宅を戸別訪問し、チラシのポスティングサービスなども行い、顧客との接点を持つために仏具店もオープンさせた。

 一方、葬祭会館の建設にあたり、土地を20年間の賃貸借契約とした。その上で会館の耐用年数を20年と定め、20年間で葬儀会館のコストを回収し切る計画を打ち立てて、新しい会館を建設していった。「土地を持たざる経営」を実現し、過大バランスシートを回避して、ビジネススピードを圧倒的に速め、成長性を高めることに成功した。

 今や事業規模、売上高では北関東以北でトップクラスの葬儀社にまで成長している。業者主導ではない、「顧客主導の葬儀社」という従来なかった池を創りあげ、その池クジラとなっている。
<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2016年8月24日 フジサンケイビジネスアイ掲載



 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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