知恵の経営

第65回

誤解を逆手にとり大ヒット

アタックスグループ 2016年4月13日
 
 和洋菓子製造販売の春華堂(浜松市中区)の看板商品「うなぎパイ」の誕生までについて3月に取り上げた。今回はその後の大ヒットにつなげた、同社トップの戦略を紹介したい。

 うなぎパイは1961年、1本15円で売り出された。上生菓子が30円、ケーキは50円であり、高めの価格設定だったが、売り上げ、販売量はともに、まさしくうなぎのぼり。そこには、2つの理由があった。

 1つは、諸外国にも例を見ない急成長を遂げた高度経済成長。64年の東京オリンピックに合わせて東海道新幹線が開通した。特に国鉄の売店に地域性を持たせようとしていた鉄道弘済会(現・キオスク)の目に留まり、請負販売を始めたのが飛躍のきっかけとなった。

 年間販売本数は、発売1年後は60万本だったが、新幹線停車駅での販売好調などで、3年後の65年には700万本に達した。うなぎパイは好景気に沸く時代と相まって、瞬く間に全国に知られていった。

 2つ目は消費者の誤解。うなぎパイには「夜のお菓子」というキャッチコピーが付けられた。多くの人が、そこに込められた思いを間違って認識したようだ。2代目の山崎幸一社長が込めた思いは「仕事が終わって夜の一家団欒(だんらん)の時間に、うなぎパイを供にしてほしい」ということだった。だが消費者の多くは、原料にウナギパウダーやガーリックが使われ、“精が付く”ウナギと絡めて、お土産にすることが多かったという。幸一氏は「菓子はおいしいだけではなく、いろいろな付加価値が必要」と考え、多くの消費者の誤解を逆手にとっていった。
 
 また、うなぎパイのパッケージは当初、浜名湖をイメージした青色にしていたが、売れ行きは芳しくなかった。そこで、当時ヒットしていた赤まむしドリンクをヒントに、赤、黄、黒のパッケージに変えると、販売量が飛躍的に増えた。

 その発想は3代目社長の山崎泰弘氏にも受け継がれている。うなぎパイの関連商品として、93年に「うなぎパイV・S・O・P」を発売、ブランデーを入れたうなぎパイに「真夜中のお菓子」というキャッチコピーをつけた。

 2009年には「しらすパイ」を発売、そのキャッチフレーズには「昼のお菓子」、「お菓子のフルタイム」という詰め合わせには「朝のお菓子」として「すっぽんの郷」も販売されている。

 高度経済成長時代の流れに乗り、消費者の誤解を逆手にとった戦略で「うなぎパイ」は、大ヒット商品になったのである。
 <執筆> 
 アタックス研究員・坂本洋介
2016年4月13日 「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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