知恵の経営

第63回

「期待効果」で新人伸ばす

アタックスグループ 2016年3月30日
 
 少子高齢化が日本経済にボディーブローのようにじわじわときき、政府も少子化対策に本腰を入れている。求人難は経営者の最大の悩みの一つ。多くの経営者が新卒採用のために事務所の建て替えやリニューアル、移転を考え、ホームページも求人を意識した内容に作り替えたりしている。勤務条件・給与水準も見直し、就職を希望する学生に魅力を感じてもらえるよう、あらゆる努力をしているといっても過言ではない。採用の企業間競争は激しくなっている。

 4月は新入社員の受け入れシーズン。求人難の中で採用した金の卵であり、企業にとって人材採用は大変な投資となることから、一日でも早く一人前に育ってほしいと教育に力を入れている。

 ところで教育分野にはギリシャ神話をもとにした「ピグマリオン効果」という言葉がある。1964年に米国の教育心理学者、ロバート・ローゼンタールが提唱した期待と成果に関する効果のことで、学校での実験を通して「人間は常に相手の期待に対して最も敏感に反応する」という主張だ。

 ローゼンタールは普通の知能テストを行い、実際には優秀でも何でもない生徒の名簿を教師に渡し、「テストの結果から考えて、生徒たちは今後数カ月間に成績向上を示す可能性が高い」と説明した。数カ月後、名簿に記載された「偽の成績向上見込者」である生徒たちの成績が、他の生徒と比較して明らかに確認できる程度に向上した。
 
  実験結果は期待を掛けられたことで生徒側に発生する効果よりも、期待を掛けた先生側が気付かないうちに、辛抱強く教えたり、答えにヒントを与えたりするなどの行為をした影響が大きいとされている。こうした教師への効果は教育心理学での心理的行動の一つで、教師の期待が生徒の成績を向上させる「教師期待効果」と呼ばれている。

 経営者としては、せっかく苦労して採用した新人社員を一日でも早く戦力化したいのであれば「ピグマリオン効果」「教師期待効果」を職場の管理者・上司に意識をさせることが大事ではないだろうか。

 また、筆者の大変大事にしている言葉に「美点凝視」がある。どんな人物にも美点(すばらしい点)があり、美点を凝視することで、人はやる気と自信を持ち、成長する。職場の管理者・上司には美点凝視も意識して新人指導に当たってほしい。


<執筆> 
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

2016年3月30日 「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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