知恵の経営

第26回

企業のミッションは何か

アタックスグループ 2015年7月1日
 

 社員数30人ほどの省エネ空調設備の設計施工、保守・点検まで一貫して請け負うK社の社長に経営の話を聞く機会があった。社長へのアドバイスを通して、企業の使命(ミッション)という観点から、経営の要点を考えてみたい。

 同社の顧客には食品製造業も多く、空調が故障すると生産が止まる。故障の連絡が入ると現場へ駆け付けて状況を把握、応急処置を施し、その後本格的に修理する。社是は「環境創造企業として持続可能な社会の実現を目指す」、行動指針は「すぐやる、今やる、私がやる」であり、大手では難しい対応で他社との差別化を図っている。

 また、過去に設置した設備をデータベース(DB)化し、故障依頼をカルテ化して顧客情報管理に役立てている。こうしたサービスでは重要な「営業エリアの限定」の方針によって地域一番店となった。

 社長の話を聞き事業を展開する上で3つの項目を自問自答してみては、とアドバイスした。

 第1は「事業の使命は何か」。社長の答えは「空調設備、とりわけ最近は節電・省エネと環境にやさしい設備の施工と故障時の修理」だ。

 第2は「顧客は誰か」。社長は「食品製造業が多いが、現状の営業地域では限界があり、数年前から東京に進出した」と答えた。

 第3は「顧客が取引するメリット・魅力・価値は何か」。故障のとき「すぐ現地に駆け付けて対応すること」であり、誰もいないときは社長自身が出向くという。

 筆者は、この質問と答えを整理して、以下のように社長に提案した。第1の“使命”は顧客の立場からみると、設備の設置は当然として、安定稼働すること。経営資源として何を強化、蓄積すべきか見えてくるはずだ。

 次の“顧客は誰か”については、食品製造業以外の有望顧客はいないか考えること。社長は既に、いくつかの分野で実績が出ていると話した。

 最後に“顧客にとっての価値”は、困ったときすぐ駆け付けてくれるという安心感であり、さらに徹底すること。例としていつでも連絡可能な「24時間対応受付サービス」を新設し携帯電話で受付を交代で担当することや、故障を未然に防ぐ定期保守点検サービスを示した。

 今は物の売れない時代だが、顧客が求めるニーズを掘り起こせば、売り上げの拡大はまだまだあると考えるべきだ。物の販売を通じて顧客が抱えている困り事の解決策を提供する視点を持つことが重要である。

 東京都の町田市と相模原市で電器店を営む「でんかのヤマグチ」は、大手家電量販チェーンとは価格競争をせず、電球1個から取り換えに訪問する「町の便利な電器店」として、電化製品という物に「高齢世帯の困り事なんでも手助け」というサービスを加えて繁盛店となっている。

 (1)事業の使命(2)顧客は誰か(3)顧客が認める価値は何か-を考え、今後どのような点に注力するのかを決めて、中期経営計画と単年度の事業計画を策定してはどうだろうか。

<執筆>

アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

2015年6月24日「フジサンケイビジネスアイ」掲載


 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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