第2回
パーソナル雇用制度とは? 未来を切り開く働き方の提案
一般社団法人パーソナル雇用普及協会 萩原 京二
働き方は常に時代とともに進化してきました。そして、現代社会の多様性や技術の進歩に応える新しい働き方として「パーソナル雇用制度」が注目されています。本コラムでは、この制度について、その魅力と課題、そして未来への期待について詳しく探ります。
1. パーソナル雇用制度とは
パーソナル雇用制度とは、「個人契約型の賃金・人事制度」のことです。これまでの雇用制度というのは、就業規則に基づく「集団的な労務管理」を前提にして設計されていました。そのため、賃金・人事制度も全員一律に、画一的に管理できる手法が求められていたのです。しかし、パーソナル雇用制度は、「個別の労働契約」によって仕事内容や働き方、賃金などの処遇が決定する仕組みです。例えるなら、プロ野球選手の年俸更改のイメージです。球団と選手が毎年、条件交渉をして年俸を決めるのと同じように、会社と従業員が毎年、労働契約の内容(賃金を含みます)について交渉をすることになります。
2. なぜ今、この制度が求められるのか
テクノロジーの進化(DX化)や個人のライフスタイルが多様性している現代において、これまでのような全員一理で固定的な雇用形態ではすべての従業員の能力や可能性を引き出せないという課題が生まれてきています。また、労働力人口が減少する中で、企業にとって「従業員が働きやすく働きがいのある職場環境」を整備することは、人材の確保・定着面からも非常に重要な経営課題になっています。パーソナル雇用制度は、これらのニーズに対応するための新しい試みとして注目を浴びています。
3. パーソナル雇用制度のメリット
従業員は自分のライフスタイルやキャリアを自分自身でデザインしやすくなり、その結果、モチベーションの向上や仕事への取り組みが活発化します。企業側にとっても、優秀な人材の確保(採用)、定着(離職防止)につながります。また、従業員の特性やスキルを的確に活用し、より効果的な役割分担が期待できます。
4. 課題とその克服
新しい制度の導入には必ず課題が伴います。パーソナル雇用制度の場合、労働契約の管理が煩雑になる可能性が考えられます。各従業員の契約内容の違いをきちんと把握し、更新や変更を迅速に行う必要が出てきます。しかし、この課題も、先進的な管理システムや技術の導入により、効率的に解決する道は開かれています。
5. 未来への期待
「パーソナル雇用制度」は、新しい時代の働き方を切り開く大きな可能性を秘めています。この制度が、多くの組織や働く人々の働き方の選択肢を広げ、新たな価値を創出する道具としての役割を果たすことを期待しています。
結論として、働き方を再定義するこの「パーソナル雇用制度」は、時代の変化に柔軟に対応し、従業員と企業双方の成長を促す鍵となるでしょう。課題を乗り越え、新しい未来を共に創造するための一歩として、その導入を積極的に検討することをおすすめします。
プロフィール
一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二
1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。
Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会
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