第41回
高齢化社会と労働力不足への対応:エイジフレンドリー補助金の活用
一般社団法人パーソナル雇用普及協会 萩原 京二
こんにちは。本日は、日本社会における労働力不足の現状と、それに伴う高齢者の活用についてお話しし、従業員の健康増進を図るための補助金「エイジフレンドリー補助金」についてご案内します。
<労働力不足と高齢者の活用>
現在、日本では労働力不足が深刻な状態になっています。少子高齢化が進む中で、若年層の労働力が減少し、企業は労働力の確保に苦慮しています。そこで注目されているのが、高齢者の活用です。高齢者は豊富な経験と知識を持っており、企業にとって貴重な戦力となり得ます。
<高齢者を活用するための課題>
しかし、高齢者を活用するためには、彼らの健康と安全に配慮した職場環境を整えることが必要です。年齢とともに身体機能が低下しやすく、労働災害のリスクが高まるため、適切な対策が求められます。
<健康経営への関心の高まり>
近年、企業における健康経営への関心が高まっています。健康経営とは、従業員の健康を重要視し、健康的な職場環境を提供することで、生産性や企業価値を向上させる取り組みです。従業員の健康増進は、企業の持続的な成長にとっても重要な人事施策となっています。
<エイジフレンドリー補助金のご案内>
そこで、本日は従業員の健康増進を図るための「エイジフレンドリー補助金」についてご案内します。この補助金は、高齢者を含むすべての労働者が安心して働ける環境を整えるための支援制度です。
<エイジフレンドリー補助金の用途>
エイジフレンドリー補助金は、以下のような用途に使われます。
・労働災害防止のための設備導入:
滑りにくい床材の導入や、重量物の持ち上げを支援するリフトの設置など、安全な設備を導入する費用を補助します。これにより、転倒や腰痛などの労働災害を防止します。
・運動指導と健康チェック:
専門家による運動指導や身体機能チェックの費用を補助します。これにより、転倒や腰痛を防ぎ、高齢者が安心して働けるようになります。理学療法士や健康運動指導士などの専門家が行うプログラムが対象です。
・健康保持増進の取り組み:
健康診断結果を基にした禁煙指導やメンタルヘルス対策など、健康教育や研修の費用を補助します。これにより、従業員全体の健康状態を向上させることができます。
<補助金の申請方法>
エイジフレンドリー補助金を受けるための具体的な申請方法についてご紹介します。
1.事前準備:
まず、補助金の対象となる企業であることを確認してください。労働災害防止のための設備導入をする場合は、60歳以上の高年齢労働者を1名以上雇用していることが条件です。そして、補助金の用途に該当する労働災害防止設備の導入や健康保持増進プログラムの内容を具体的に計画します。
2・申請書類の準備:
申請に必要な書類を準備します。具体的には、企業の基本情報、補助金の使途に関する詳細な計画書、見積書などが必要です。申請書類は、厚生労働省のエイジフレンドリー補助金事務センターのホームページからダウンロードできます。
3.申請書類の提出:
準備した書類を、エイジフレンドリー補助金事務センターに郵送または宅配便で送付します。メールでの申請は受け付けていませんので注意してください。
申請書類の提出期限は令和6年5月7日から令和6年10月31日までです。
4・審査と結果通知:
提出された申請書類は、事務センターで審査されます。審査には概ね2か月を要します。審査の結果、補助金の交付が決定されると、通知が送られてきます。交付決定前に設備の購入や工事の施工を行わないように注意が必要です。
5.補助金の受け取り:
補助金交付が決定されたら、必要な設備やプログラムを実施します。実施後、支払請求書類を事務センターに提出し、補助金を受け取ります。支払請求書類の提出期限は令和7年1月31日までです。
<まとめ>
エイジフレンドリー補助金は、労働力不足の解消と高齢者の活用、そして従業員の健康増進を図るための重要な支援策です。高齢者が安全に働ける環境を整備し、健康経営を推進することで、企業の生産性向上と持続可能な成長を実現します。皆さんも、このエイジフレンドリー補助金の意義を理解し、未来の職場環境づくりに役立ててください。
プロフィール
一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二
1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。
Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会
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