中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第6回

成功事例から学ぶ!パーソナル雇用制度を導入した企業の変革と成果

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

これまで、働き方の多様性が求められる中で「パーソナル雇用制度」が注目されているということをお伝えしてきました。パーソナル雇用制度の仕組みや考え方についてはご理解をいただけたかと思いますが、企業経営にとって具体的にどのようなメリットがあるのかについてはイメージができなかたかもしれません。そこで今回は、この制度を導入し成功を収めた企業の具体的な事例を3つ紹介します。

事例1:ITベンチャー企業A社

A社では、新しいプロジェクトを進めるため、優秀なクリエイターの採用が不可欠でした。所定休日が105日という条件下では、他の競合と比べて魅力を感じられず、内定を辞退されるケースが増えていました。この課題に直面したA社は、パーソナル雇用制度を導入。採用候補者であるクリエイターの個別ニーズに応えるために、年間所定休日を120日に増やすという「特別な労働条件」を提示。結果として、優秀な人材の確保することに成功し、事業の拡大を実現しました。

事例2:製造業B社

B社では、R&D部門のキーメンバーである女性従業員が、ご主人の転勤で退職を検討していました。彼女の専門知識は、新しい製品開発に不可欠だったため、彼女の離職は企業にとって大打撃となることが予測されました。そのため、B社は迅速にパーソナル雇用制度を導入し、この女性従業員にフルリモートでの勤務条件を提示。その結果、彼女は退職を撤回し、製品開発は順調に進められました。

事例3:建設業C社

C社は、人手不足による業績の低迷が続いていました。求人を出しても応募が少なく、特に若手の採用が難しかったのです。そこで、パーソナル雇用制度の導入を決断。従業員のライフスタイルやキャリアプランに合わせた柔軟な働き方を提案し、採用面接でもその点を強調。これにより、新卒採用の成功率が大幅に上昇し、プロジェクトの遅延も解消されるなど、業績の回復が見られました。

これらの事例から学ぶべきは、企業が時代の変化や多様化するニーズにいかに柔軟に対応するかが重要であるということです。パーソナル雇用制度の導入は、企業と従業員双方の利益を追求する上での有効な手段と言えるでしょう。従業員満足度の向上は、そのまま生産性や業績の向上へとつながります。

このような制度を活用することで、企業は新たな価値を生み出し、持続的な成長を実現できるのです。日本の労働市場においても、従業員のニーズを的確に捉え、それに応じた環境を提供する企業が増えてくることを期待したいと思います。

これからも、多様性が豊かな社会を築くための新しい取り組みや成功事例を追いかけ、皆さんにお伝えしていきます。次回もお楽しみに!


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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