知恵の経営

第14回

チームプレーで目標達成

アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)  執筆

 

 昔からスポーツは、会社経営と似ている部分が数多くあるといわれる。(1)個人の力を集結し、いかにチームとして結果を出すか、(2)ずば抜けた能力を持つ個人がどんなに好成績を残しても、チームプレーができなければ勝てない、(3)勝てるものは何かを考え、徹底的に磨き上げる、(4)チームの勝利のために、果たすべき役割を考え、個人が育つ-などだ。

 今年正月の箱根駅伝を制した青山学院大学陸上部監督の原晋氏の指導にそれが表れた。原氏は指導者になる前の10年間、サラリーマン生活を送った。

 企業人として、一つの目標に向かってどう取り組んでいくのか、鍛えられた。「陸上の指導もビジネスに当てはめただけ。中身が違えどもやり方は共通部分がある。チーム目標だけでなく、個人目標も立てて、両方に向かっていくことで個人とチームを成長させる」

 具体的には、選手個人の1年間の目標はもちろん、1カ月ごとの目標、それから週の目標を細かく設定させ、グループミーティングで進捗(しんちょく)状況や到達度を確認させた。選手に自己管理、果たすべき役割・やるべきことを徹底して個人を成長させた。これは企業内の「目標管理シート・業務進捗確認面談」の手法を取り入れたものだ。

 また、練習方法も走りこみや腹筋・腕立てなど筋力トレーニングが多い中で、常にこの練習はどんな目的で行うのか、レース当日にどう生かされるのかを考えて、メニューや環境を設定した。大学キャンパス内に専用グラウンドや山登り・山下りを想定したクロスカントリー用コースも設けた。

 常にレースを意識した練習でないと当日百パーセント能力を発揮することは難しい。これも企業人として営業活動から身につけた。

 スポーツの経験を生かして経営に取り組む30代の若手社長の話を紹介したい。

 小さい頃から、将来はプロ野球選手になることを志し、中学・高校と野球第一の生活を送った。特に高校時代は、あこがれの甲子園に行きたいという思いだけで、チームよりも、とにかく自分がうまくなるために必死だった。その思いは他のメンバーも同じだったようで、当時チームの個人能力は高かった。

 しかし、試合になると負け続けた。「メンバーはすごい選手が集まっている。これなら甲子園出場も夢ではない」と周囲からは言われたが、蓋を開けてみたら、チームという組織としてみればバラバラだった。

 今思えば個人プレーでは組織はまとまらないし、たとえ個人の資質が高くてもチームは勝てない。だからこそ全員が一体感を持ち、目標をしっかりと共通して持たないと組織は成り立たないことを痛感したという。

 野球の目的は当然勝つことだが、個々人の成績にフォーカスを当てすぎると、チームとしての和がまとまらず最終的に敗退する。若手社長は「やはりチーム・組織は大事だということを、スポーツを通して学んだ」と話してくれた。

                   ◇

【会社概要】アタックスグループ

 顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

<執筆>
アタックス研究員 坂本洋介

2015年4月8日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 

プロフィール

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