知恵の経営

第255回

「ウィズコロナ」へ求められる業種別の指針

アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)  執筆

 
8月に入っても、依然として、新型コロナウイルス感染拡大が収束するどころか、再拡大の気配すら見せている。そのような状況下にあることで、多くの企業では、現在も在宅勤務の継続や出社との併用を継続している状況が続いている。

政府も、在宅勤務や時差出勤をはじめとした感染防止対策の再徹底として、「感染防止策をまとめた業種別ガイドラインの徹底」「テレワーク70%・時差出勤」「体調不良者は出勤させずPCR検査を推奨」「大人数での会食を控える」「接触確認アプリの導入促進」を経済界に要請する項目として示した。

ただ、在宅勤務の拡大・再要請がされることによって、感染リスクと隣り合わせの現場での業務が増える業界もその一方で存在している。例えば、住宅リフォーム業だ。在宅時間が長くなることで、今まで気づかなかった家の中の細かなことが気になりだし、リフォームの依頼をする客や在宅勤務を行うために部屋の一角を在宅勤務用のワークスペースに変えるような「テレワークリフォーム」の依頼をする客が増える傾向にあった。

同様に、ゴミ収集運搬業も、在宅勤務が進み、家庭にいる時間が増え、食事の機会が増えるなどしたことで、東京23区の数値ではあるが、清掃工場へ運ばれる可燃ゴミの収集量が、3月は12万トン(前年同月比1.2%増)、4月は17万トン(8.3%増)、5月は14万トン(10.3%増)、6月は13万トン(5.1%増)と、いずれも大きな増加となっていた。

こういった業務は、在宅で業務ができるわけでもなく、また在宅勤務なので今日は伺えませんと言える業務ではない。この業務を毎日行ってくれていることで、快適な在宅勤務が進められていることには間違いなく、感謝しかない。

ただ、特定の誰かが犠牲になる社会は健全な状態とは言えない。今回のように、意識を高める、統一するために、共有目標を示すことは重要であるのは間違いない。ただ、この数字だけが独り歩きしてしまうと、自分たちの業界・業務内容では到底できないという結論で終わってしまうだろう。

重要なのは、在宅勤務7割ではなく、業種別ガイドラインの作成と考えることだと思う。政府や都道府県知事からの酒類の提供を伴う飲食店を名指ししての営業時間短縮要請は少し乱暴だとは思うが、ただ、全てできないというのではなく、自分たちの業界・業務内容の中でできること・やるべきことを考えていかない限り、コロナと共存していかなくてはならない社会で命と経済の両立を図ることは難しくなるだろう。


アタックス研究員・坂本洋介
2020年8月18日フジサンケイビジネスアイ掲載
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


Webサイト:アタックスグループ

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