知恵の経営

第201回

人口減少、令和時代の人財獲得法

アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)  執筆

 
いずれ人口減少社会が到来することは平成を迎える時代から分かっていた。令和になり人口減少問題はますます加速するであろう。世界的な経営学者、ピーター・ドラッカーは未来予測で一番確実なものは人口構造であり「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造に関わる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と言った。

一方で最近は人工知能(AI)の進化により人間の仕事がロボットに取って変わられる時代となっている。AIが人間の仕事を奪うとしても令和の時代の企業経営はAIで代替できない人材の採用、育成、定着が最重要経営課題となる。そこで求められる人材像の中心は知識労働者であり、それは他社との差異を生み出す専門スキルを持ったプロフェッショナル人材あるいは組織を円滑に動かすマネジメント人材であろう。これらの人材を獲得するための企業間競争はどんどん激しくなる。

1991年米国で設立された「Great Place To Work(GPTW)」という組織がある。この組織は社員にとって「働きがいのある会社」を調査し、その結果を公表することで働きがいのある会社の実現を支援することを目的としている。日本でも2005年から活動を始めている。

働きがいのある会社を構成する要素は3つである。

1つは仕事との関係性でそのキーワードは「誇り」である。社員が自社の事業と仕事に誇りが持てるかどうかである。「自分の仕事は世の中の役に立っている」と胸を張って言うことができ、お客さまから「ありがとう」と喜んでお金を支払っていただけるのが理想である。

2つ目は一緒に働く仲間との関係性でそのキーワードは「連帯感」である。仕事で厳しい状況に追い込まれたとき、一緒に働く仲間と協力して仕事ができる連帯感の持てる職場であれば苦しさも突破できる。あるいは仲間同士が切磋琢磨(せっさたくま)して向上できる職場は自己の成長を実感できる。

3つ目はマネジメント層との関係性であり、キーワードは「信頼」である。勤務している会社や経営陣を信頼できる会社は働きがいのある会社である。信頼は信用、尊敬、公正という3つの要素に分解できる。

従業員が「うちの社長はこんな社長」と自慢できる会社は間違いなく働きがいのある良い会社である。GPTWが定義する働きがいのある会社とは「従業員が自分の仕事に誇りを持ち、ともに働く仲間と連帯感が持て、経営者・管理者を信頼している会社」ということである。令和の時代を勝ち抜くために経営者にGPTWの思想を学び自社の経営に生かすことをおすすめしたい。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2019年6月18日フジサンケイビジネスアイ掲載
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


Webサイト:アタックスグループ

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