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第271回

コロナ借換保証の最後のチャンスを捉える

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



3月に政府が発表した「再生支援の総合的対策(以下「本対策」と言います)」について関心が高まっています。

https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240308005/20240308005.html

今回は第2の柱「再生支援の強化」について深堀します。



信用保証協会及び民間金融機関の役割

本対策では、4月に予想される民間ゼロゼロ融資返済開始の最後のピークへの対応としてコロナ資金繰り支援を本年6月末まで延長することに加え、保証付融資の増大や再生支援等のニーズの高まりを踏まえた支援強化が示されています。信用保証協会、中小企業活性化協議会、再生ファンド(中小機構出資)、民間金融機関、政府系金融機関そして関係省庁が支援強化に当たります。


コロナ禍による景気失速等の影響を色濃く受けた中小企業が再生できるよう、各パートが各々業務に応じて役割を果たすことで全体として中小企業が必要とする支援が漏らさず行われるよう設計されていると感じられます。


信用保証協会の役割は第1として「信用保証協会向けの総合的な監督指針の改正」に基づいて①「保証付融資の割合が高い先など支援先を特定、協会が主体的に支援」、②「経営改善支援実施(指標値により効果を検証)」、③「中小企業活性化協議会への案件持込促進」、⑤「『経営者保証の提供を選択できる保証制度』利用推進」等が挙げられました(まとめ表現は筆者による。以下も同じ)。


第2は「中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センターとの連携推進」で「活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センターと連携、再生支援・スポンサー探しの事前相談の円滑化を図る」こと、第3は「求償権放棄の円滑化(条例制定の都道府県等への要請)」が挙げられています。


全体として、症状が重い企業に再生支援が行われるきっかけ作りの役割を期待されたと感じられます。


民間金融機関に期待する役割は第1として「一歩先を見据えた経営改善・再生支援の強化」が挙げられ、①「事業者の現状に加えて状況変化の兆候を把握、一歩先を見据えた対応実施(日常的・継続的な関係強化による事業者の予兆管理と認識共有(プッシュ型での情報提供等))」、②「経営改善や事業再生を先送りしないよう『実現可能性の高い抜本的な経営再建計画』等の策定促進」、③「地域における事業者支援態勢の構築・発展に向けた取組み促進」が期待されました。


第2として「経営改善・事業再生支援人材の拡充」が挙げられ「経営改善・事業再生支援に関心のある地方の専門家を発掘、連携強化を図る等」が、第3として「事業者のガバナンス向上支援」が挙げられ「経営者保証を不要とするための課題解決促進として金融機関対応例や成果事例等のとりまとめと横展開」が期待されました。


未だ症状が出ていない予兆段階にある企業に気付きを与えることから、ある程度症状が進んでしまった企業に実現可能性の高い抜本的な経営再建計画等の策定を勧める役割を期待すると共に、専門家と共に経営改善支援あるいは事業再生支援を行える体制を作っておくよう期待されていると感じられます。



経営改善支援を金融機関に申し出る

「信用保証協会と民間金融機関の役割分担は理解したが中小企業にどんな意味があるのか?」業況が回復せず資金繰りが厳しい企業の中には、既にコロナ借換保証などを申込んだけれど断られた企業もあると考えられます。


「そうなんだ。しばらく返済して空き枠を作り、再度申し込もうと思う。」もしかしたら待たない方が良いかもしれません。返済でキャッシュが減少すると金融機関にとって今以上に「貸し難く」なる可能性があります。


「では、どうしたら良いのか?」コロナ借換保証では企業による経営行動計画書と金融機関による伴走支援が要件です。金融機関が「この計画なら企業は立ち直れる。伴走支援の甲斐もあるだろう」と感じる経営行動計画書の策定がポイントになると考えられます。前回の計画書では金融機関が「伴走支援の甲斐について、疑念が残る」と感じてしまったことが理由だったのかも知れません。


このため「コロナ借換保証は6月末までだとのこと。是非とも利用したいので経営改善支援に乗ってくれないか?」と取引先金融機関にアプローチできるかもしれません。改めて計画策定に取り組んで活路を切り拓くのです。


「一度は断られてしまったので自信がない」とお感じなら先ずは顧問税理士にご相談するようお勧めします。StrateCutionsでもご相談に乗っています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>



なお、冒頭の写真は 写真AC から himawariin さんご提供によるものです。 himawariin さん、どうもありがとうございました。

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

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