「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第230回

協力し合う職場作り

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



今、苦しい状況にありながら会社を持続化させ、立て直していく方策を考えています。「V字回復する計画書を立てれば良いのだな。」正解ですが、それは必要条件であって十分条件ではありません。「V字回復とは、こんな状況を言うのだ」と売上・利益が劇的に向上する計画を策定したとしても、それが実現する保証はないのです。このため「計画にこの内容を盛り込めば」、「会社がこんな体質に生まれ変わったら」V字回復が見込めるだろうという十分条件を検討しています。今回は、組織を1+1>2にする「協力し合う職場作り」について考えます。



協力の重要性(協力の体制作り)

組織に「協力」が生まれるよう体制作りすることについて、以前の日本では、とても大切にされていました。複数の部署が連携して働く組織にあっては、お互いが協力し合うことがパフォーマンスを大きく向上させることが理解されていたからです。


ごく簡単な例を挙げると、一つの製品を2つの工程で分担して作製している場合に、前工程が後工程に送る半製品が、その時々でバラバラのロットで、バラバラの時間に、バラバラの場所に届けられ、その荷姿もバラバラで、検査したとしてもその水準がバラバラだと、後工程の生産性は大きく低下します。一方で、前工程が一定のロットで、同時間に同じ場所に届け、後工程に配慮した荷姿が守られ、一定水準の信頼できる検査が行われていると、後工程の生産性は大きく向上します。日本が「ものづくり大国」と言われた源泉の一つに、この仕組み作りに成功する会社が多かったことを挙げたとしても、否定する人はいないでしょう。



協力の雰囲気・文化作り

同じことは個人レベルでも言えます。しかし、こちらについて語られることは、一部の組織を除いて、あまりないように感じられます。「組織体制と違って、個人レベルの協力は成果にあまり影響しないからではないか?」そんなことはありません。人々が協力し合っているか否かは、パフォーマンスに大きく影響します。マネジメントの父と呼ばれるドラッカーは、組織の本質は「投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す」ことにあると指摘しているほどです。


組織における成果は、通常は、1+1=2(ここでは便宜的に2人の組織を想定)でしょう。その状況をマネジメントによって

1+1>2

に変えるのです。2.1どころか3にも4にもなる、それ以上の成果が得られることを目指します。一見すると、眉唾もののようにも感じますが、論理的にこれは可能です。


二人いると2倍の仕事ができることを「1+1=2」と表現できます。ここで一人の人が生み出す成果である「1」を考えると、それは強み(長所)と弱み(短所)の合成によって生じています。もしある人に「10」の成果を生む長所があるにもかかわらず、短所が邪魔をして結果的には「1」の成果しか生み出せないとするならば、それは「10-9」と表現でき、それゆえ上の数式は以下のように表現できます。

(10-9)+(10-9)=2


「10-9」は、一人でいると如何ともし難いのですが、これが組織だと、新たな現象が起こり得ます。Aさんが不得意としている分野があっても、それが得意なBさんが助けてあげれば、Aさんのマイナスが少なくなるのです。例えばAさんがいろいろと試行錯誤してもできなかった表計算の式が、専門家であるBさんの一寸したアドバイスで、たちどころにできてしまうかもしれません。Bさんが一人では持ち上げられなかった重い荷物を、Aさんがホンの短い時間、手伝ってあげたら、移動させることができるかもしれません。二人の協力により、お互いの短所によるマイナス成果について各々「1」減らすことができたとは、以下が生じたという意味です。

(10-8)+(10-8)=4


では、この状況はどのようにして生み出せるか?残念ながらこちらは仕組みとして作り出すのは難しいようです。筆者が実際にこのメカニズムを発揮している企業を仔細に観察したこところ、職場に「仲間に協力しよう」との雰囲気・文化があると気付きました。このような雰囲気・文化を作るマネジメントがポイントなのです。


「体制作りと雰囲気・文化作りの両方が重要だと分かった。しかしどうすれば良いだろう。誰かと相談したい」と思われるなら是非StrateCutionsにご相談下さい。協力し合う職場の雰囲気・文化作りは、その重要性に気付いている専門家でなければご支援できません。現場を良く観察し、働き手の思いを汲みながら、今までとは比べ物にならないパフォーマンスをあげよう目指しましょう。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>




なお、冒頭の写真は 写真AC から coji_coji_ac さんご提供によるものです。coji_coji_ac さん、どうもありがとうございました。



 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

同じカテゴリのコラム

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)とは?

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。

当サイトでは、クッキーを使用して体験向上、利用状況の分析、広告配信を行っています。

詳細は 利用規約 と プライバシーポリシー をご覧ください。

続行することで、これらに同意したことになります。