「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第288回

会社が元気になれる「夢」を描く

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



元旦の大地震発生から幕を開けた2024年もあと2週間ほどとなりました。コロナ禍が下火となり景気も盛り上がった2023年と比較すると地味と感じられた一年ではなかったかと思います。倒産件数も増えてしまい、予断を許さない状況だとの報道もなされています。この状況で立て直しが必要な企業は何ができるか、考えていきます。



実現性のある必要最低限の目標を立てるべきか?

前回、立て直しが必要な企業は「今すぐできることを始める」、「ステップアップした取組を計画にまとめる」そして「会社を巻き込む取組を始める」という3重構造で取組を始めるようお勧めしました。会社を立て直そうとする場合には「事業計画を策定する」から始めるのが通常だと考えられますが、その前に「計画がなくても できることをすぐやる」と「計画策定よりも時間がかかることも始める」とでサンドイッチするのです。

このようにお勧めしたのは、策定した事業計画が少なからぬ場合で「計画倒れになる」からです。また「息切れする」現象も発生する場合があるので、あらかじめ対策を打っておく意味合いがあってのことです。


今回は、中心部分となる事業計画について考えます。どんな計画を立てるのか?「当たり前だろう、今の状況から脱することができる、しかし実現可能な計画を立てるのだ。目標は低すぎては意味がないが、高すぎてもいけない。あまりにも目標が高いと社員が最初から『無理だ』と感じてしまうからだ。微妙なラインで、慎重に決める必要がある。」確かにその配慮は必要です。

一方で、必要最低限の目標を立てる必要が本当にあるのでしょうか?「右にずれても(高めの目標にしても)左にずれても(低めの目標にしても)いけない。断崖絶壁をたどるように計画値を定めていかなければならない」と考えることが、望ましい結果を生むのでしょうか。社員たちは、必要最低限の目標であっても、達成するために努力する必要があるでしょう。しかし、それを達成してもあまり良い目にあえないことが分かっていたら、モチベーションが上がるでしょうか。経営者自身も、明るい気持ちになりにくいのではないかと感じます。



ハッピーを感じられる「夢」を目標とする

会社が立ち直ることは、誰にとってもハッピーなことです。社員たちにもメリットがあります。「しかし社員たちは、会社を立て直すために特別な苦労をさせられるのではないかと警戒している。」そのような気持ちの社員も、いると思います。

しかし会社が立ち直らなかった場合は働き場所を失ってしまい、別の職場を探したり、その間の収入が得られないなどのデメリットがあります。慣れない仕事に従事するやり辛さなども経験するかもしれません。冷静に考えれば、会社が立ち直る方がずっとメリットが大きいのです。苦労する価値があることです。


このように考えると、会社の立ち直りを目指す計画には「とにかく倒産だけは回避するが、社員たちの苦労は最小限にするため会社は半病人状態で仕方ない」という目標を掲げるよりも、社員たちも「会社がこれほどに立ち直り、私たちもこれほどまでにハッピーな状況に与れるなら本望だ。この『夢』が実現できるなら、多少の苦労も厭わない、頑張ってみたい」と考えられる目標を立てた方が、社員もモチベーションを高くして取り組むことができると考えられます。


現在、経営者の平均年齢は60歳と言われています(筆者も同世代です)。この世代は子供~青年期「夢は見るな、現実を見よ」と言われていました。当時は高度成長期あるいは景気が悪くても必ず回復すると信じることができた時代で、「皆と同じ目標を目指していれば、人並みの幸せが得られる」と考えることができました。

一方で今は失われた10年が、20年、30年と長引く中、新型コロナウイルス感染症は蔓延するわ、大地震は起きるわ、豪雨には見舞われるわ、の時代です。このような状況では「あまり苦労はせずに皆と同じでいられるなら、良しとしよう」と思っていたのでは、状況はどんどんと暗くなってしまいます。


「トレンドは決して明るいとは言えないが、私は明るい夢を描こう。多少の苦労はしても、それを実現しよう」と考える人が、会社が、成功を手にできるのだと考えられます。つまり、立て直しを目指す時、高い理想を掲げられる企業が成功を掴めるのです。是非、皆が本気になれる目標を立てるようお勧めします。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>




【筆者へのご相談等はこちらから】

https://stratecutions.jp/index.php/contacts/




なお、冒頭の写真は Copilot デザイナー により作成したものです。

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

同じカテゴリのコラム

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)とは?

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。