「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第296回

まず社員の共感を得て顧客に波及させる

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



今月は「共感」について考えています。競争が激しい事業環境下、自社を選んでもらうのは簡単ではありません。「そんな製品があるのだな。それを作っている会社があるのだな」と認知されても、選んでもらうための道のりが長すぎるのです。そのほとんどが忘却される中で、自社は覚えてもらうために何ができるか?その一つに「共感」があります。今回は波及により共感を得ていく方法について考えてみます。



競合に埋もれないように感情を揺さぶる

モノが溢れる時代、顧客は何を理由に選んでいるのか?機能や性能、デザインなどで好みのものを選ぶというアプローチがあります。今は次から次へと「良さそうなモノ」が市場に出回るので、選ぶことが楽しみな顧客には嬉しい世の中ですが、供給者としては厳しい事業環境です。人気ある商品カテゴリーでは競合の参入が絶えないので、競争は激化するばかりです。このような状況下「この製品は、私の願いを体現している。この会社の考えや行動は、私の気持ちを満たしている」と認めてもらうことで購買行動に繋がります。

共感とは、他人の意見や感情等に心揺さぶられて同意すると共に、それを共有することが快いために関係性を持続させようとの気持ちが働く状況と言えるでしょう。このため企業は、自分の意見や感情等を表明しなければ共感は得られません。ミッションや経営理念、ビジョンとして表現する他、商品(製品)・サービス、付加的なサービス、店舗、社員の言動、顧客や社会へのフォローなど、可能な手段をできるだけ活用して(全て活用して)、自社の目指す境地など(共感ポイント)を表現できます。


一方で、共感を自社ビジネスと両立させるのは並大抵ではありません。ほとんどの企業が成功していない、あるいは「諦めている」と言ってよいほどです。しかし、共感を得ることなく選ばれるのも茨の(困難な)道です。成長企業の多くが「生活の利便性」、「健康や美の保持・向上」、「社会等への思いやり」、「お財布に優しい低価格」などでの共感を軸としていることを鑑みると、全力を尽くして取り組む価値のあるアプローチと言えそうです。



社員から共感を得て、次に顧客にアプローチする

ビジネスとの両立が難しい「共感」を確立している企業は何を行っているのか?まず社員からの共感を勝ち取っています。会社と社員は、昔は対立関係にあり「社員は、会社から搾取されていると感じる関係」でした。会社と社員の対話は以前は「ボーナス闘争」などと表現されていたほどです。

しかし実は会社と社員の関係は、対立である必要はありません。共感し合える関係も可能で、実現している会社もあります。インターネットで検索すると、世界的に有名なホテルチェーンをはじめとして、日本企業の名前も挙がっています。リスト見ると、それら企業は顧客の共感も得ていると分かるでしょう。


なぜ社員の共感を先にすべきか?会社に成功体験が生まれるからです。社員の共感を得るのは簡単ではありません。数多くの試行錯誤が必要です。しかし社員の反応は、顧客の反応よりもはるかにダイレクトです。直接に意見を聞けますし、PDCAを回すスピードは顧客の場合より数倍も早いでしょう。こうやって遂に共感を持ってもらえると、成功体験をもとに、コミュニケーションが難しい顧客にもアプローチできるようになります。

また社員の共感を勝ち得ると、それが社外にも伝播するようになります。会社の経営理念やミッション、ビジョン等に共感する社員は、接客時にもそれらが目指す雰囲気を醸し出すでしょう。まずは社員毎に雰囲気や態度が大きく変わることなく、一つの方向性を持っていることに驚くと思われます。社員と接する体験をベースに、顧客は企業に共感できるようになるのです。


社員の共感を先に得るとなぜ、顧客との共感がビジネスと両立するのでしょうか?会社の構成員である社員が会社に共感しているとは、会社が真の意味で共感に値する存在になったことを意味します。一方で社員が共感せず、顧客だけ共感していたら、それは「張りぼて」にすぎません。実体のない共感を構築・維持しようとするので無理をして、ビジネスにならないのです。

実体のある共感なら、対話をしてビジネスが成り立つ落し処を定めることができます。それゆえ社員と顧客の両方から共感を得ることが、企業にとって真の存立基盤となります。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真はCopilot デザイナーにより作成したものです。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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